(R6.5.31まで)【医療区分㉒】パーキンソン病関連疾患
R6年度の診療報酬改定により、医療区分の評価は新しくなりました。
【医療区分㉒】パーキンソン病関連疾患の概要
医療区分 | 算定期間 |
---|---|
医療区分2 | 算定期間に限りのない医療区分 ー |
項目の定義 |
パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度の状態に限る。))に罹患している状態。 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病については、難病の患者に対する医療等に関する法律第5条に規定する指定難病(同法第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されている患者(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に係るものに限る。)として定めるものを対象とする。 |
評価の単位 |
ー |
留意点 |
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症又はパーキンソン病に罹患している患者であって、医療受給者証を交付されているもの、又は、特定医療費の支給認定に係る基準を満たす状態にあることを医療機関において確実に診断されるものに限る。また、パーキンソン症候群は含まない。 |
- その他の「医療区分」を索引 ※クリックすると開きます
-
≪算定期間に限りのある医療区分≫
- 医療区分①:24時間持続点滴
- 医療区分②:尿路感染症
- 医療区分③:リハビリテーション
- 医療区分④:脱水
- 医療区分⑤:消化管等からの出血
- 医療区分⑥:頻回の嘔吐
- 医療区分⑦:せん妄
- 医療区分⑧:経腸栄養
- 医療区分⑨:頻回の血糖検査
≪算定期間に限りのない医療区分≫
- 医療区分⑩:スモン
- 医療区分⑫:常時、監視・管理
- 医療区分⑬:中心静脈栄養
- 医療区分⑭:人工呼吸器
- 医療区分⑮:ドレーン法
- 医療区分⑯:気管切開・気管内挿管+発熱
- 医療区分⑰:酸素療法(高密度)
- 医療区分⑱:感染症の治療
- 医療区分⑲:筋ジストロフィー症
- 医療区分⑳:多発性硬化症
- 医療区分㉑:筋委縮性側索硬化症
- 医療区分㉒:パーキンソン病
- 医療区分㉓:その他の指定難病等
- 医療区分㉔:脊髄損傷
- 医療区分㉕:慢性閉塞性肺疾患
- 医療区分㉖:人工腎臓等
- 医療区分㉙:悪性腫瘍
- 医療区分㉚:肺炎
- 医療区分㉛:褥瘡
- 医療区分㉜:下肢末端の開放創
- 医療区分㉝:うつ症状
- 医療区分㉞:他者に対する暴行
- 医療区分㉟:喀痰吸引
- 医療区分㊱:気管切開・気管内挿管
- 医療区分㊲:創傷、皮膚潰瘍等
- 医療区分㊳:酸素療法
評価の要点(医療区分㉒:パーキンソン病関連疾患)
難病については、受給者証の交付を受けていることが望ましいですが、受けていない場合については、療養病棟入院基本料に関する事務連絡において以下のように記載がありました。
指定難病については、「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」⑲~㉓において、『同法(難病の患者に対する医療等に関する法律)第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されている患者(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に係るものに限る』と規定されています。
これについて、病名及び重症度が「特定医療費の支給認定に係る基準」を満たすことを患者が受診する保険医療機関の医師が診断したが、受給者証の交付を受けていない場合も、対象に含まれるのでしょうか?
医師が、病名及び重症度が基準を満たすことを客観的な根拠とともに医学的に明確に診断できる場合には含まれます。
評価票に記入をするときの確認事項
医療区分・ADL区分等に係る評価票にチェックをするときには、下記の内容についてきちんとできているか確認しましょう!!
「パーキンソン病関連疾患」を定義に基づいて適切に分類している。
- 診断基準に照らして、適切に判断している。
- 過去に診断を受けている場合は、その記録を確認する。
※診断根拠と現状の把握がなされている。
※診療・看護計画が作成されている。
Q&A(医療区分㉒:パーキンソン病関連疾患)
以前、当サイトへあった質問とその回答です。
確実に診断されるもの[H29.5.24]
「[22]パーキンソン病関連疾患」の留意点において、 ”特定医療費の支給認定に係る基準を満たす状態にあることを医療機関において確実に満たす状態にあることを医療機関において確実に診断されるものに限る。” とあるが、 ”確実に診断されるもの” とは、レセプトに病名を載せているだけで大丈夫でしょうか?
レセプトに病名を載せているだけではなく、診断基準に基づき診断を行うことが必要かと考えられます。
以下に、「指定難病とすべき疾病の支給認定に係る基準」よりパーキンソン病の診断基準と重症度分類を載せましたのでご参照ください。
以下の診断基準を満たすものを対象とする。
- パーキンソニズムがある。
- 脳CTまたはMRIに特異的異常がない。
- パーキンソニズムを起こす薬物・毒物への曝露がない。
- 抗パーキンソン病薬にてパーキンソニズムに改善がみられる。
以上4項目を満たした場合、パーキンソン病と診断する。
なお、①、②、③は満たすが、薬物反応を未検討の症例はパーキンソン病疑い症例とする。
パーキンソニズムの定義は、次のいずれかに該当する場合とする。
- 典型的な左右差のある安静時振戦(4~6Hz)がある。
- 歯車様強剛、動作緩慢、姿勢反射障害のうち2つ以上が存在する。
脳CT又はMRIにおける特異的異常とは、多発脳梗塞、被殻萎縮、脳幹萎縮、著名な脳室拡大、著名な大脳萎縮など他の原因によるパーキンソニズムであることを明らかに示す所見の存在をいう。
薬物に対する反応はできるだけドパミン受容体刺激薬、またはL-dopa製剤により判定することが望ましい。
ホーエン・ヤール重症度分類3度以上、かつ生活機能障害度2度以上を対象とする。
(ホーエン・ヤール重症度分類)
- 0度:パーキンソニズムなし
- 1度:一側性パーキンソニズム
- 2度:両側性パーキンソニズム
- 3度:軽~中等度パーキンソニズム。姿勢反射障害あり。日常生活に介助不要。
- 4度:高度障害を示すが、歩行は介助なしにどうにか可能
- 5度:介助なしにはべっど又は車椅子生活
(生活機能障害度)
- 1度:日常生活、通院にほとんど介助を要しない。
- 2度:日常生活、通院に部分的介助を要する。
- 3度:日常生活に全面的介助を要し、独立では歩行起立不能。
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
薬の処方の必要性[H28.11.9]
パーキンソン病で薬が出ていなくても対象になるか。
項目の定義を満たしている。
「罹患している状態」であり、「項目の定義を満たしている」のであれば本項目に該当すると考えられます。
- 罹患 ⇒ 病気にかかっている状態
- 治療 ⇒ 病気を治癒させたり、症状を軽快にさせる行為
なので、薬を使用していない場合でも、パーキンソン病として項目の定義を満たしている場合には、本項目に該当すると考えられます。
なお、”[2]尿路感染症” や ”[30]肺炎” など 「治療を実施している状態」という一文が入っている場合には、薬の処方などの治療行為が必要になると考えられます。