(R6.5.31まで)【医療区分⑨】頻回の血糖検査を実施している状態
R6年度の診療報酬改定により、医療区分の評価は新しくなりました。
【医療区分⑨】頻回の血糖検査を実施している状態の概要
医療区分 | 算定期間 |
---|---|
医療区分2 | 算定期間に限りのある医療区分 3日間 |
項目の定義 |
頻回の血糖検査を実施している状態(1日3回以上の血糖検査が必要な場合に限る。) |
評価の単位 |
1日毎 |
留意点 |
糖尿病に対するインスリン製剤、又はソマトメジンC製剤の注射を1日1回以上行い、1日3回以上の頻回な血糖検査を実施している状態に限る。なお、検査日から3日間まで、本項目に該当するものとする。 |
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≪算定期間に限りのある医療区分≫
- 医療区分①:24時間持続点滴
- 医療区分②:尿路感染症
- 医療区分③:リハビリテーション
- 医療区分④:脱水
- 医療区分⑤:消化管等からの出血
- 医療区分⑥:頻回の嘔吐
- 医療区分⑦:せん妄
- 医療区分⑧:経腸栄養
- 医療区分⑨:頻回の血糖検査
≪算定期間に限りのない医療区分≫
- 医療区分⑩:スモン
- 医療区分⑫:常時、監視・管理
- 医療区分⑬:中心静脈栄養
- 医療区分⑭:人工呼吸器
- 医療区分⑮:ドレーン法
- 医療区分⑯:気管切開・気管内挿管+発熱
- 医療区分⑰:酸素療法(高密度)
- 医療区分⑱:感染症の治療
- 医療区分⑲:筋ジストロフィー症
- 医療区分⑳:多発性硬化症
- 医療区分㉑:筋委縮性側索硬化症
- 医療区分㉒:パーキンソン病
- 医療区分㉓:その他の指定難病等
- 医療区分㉔:脊髄損傷
- 医療区分㉕:慢性閉塞性肺疾患
- 医療区分㉖:人工腎臓等
- 医療区分㉙:悪性腫瘍
- 医療区分㉚:肺炎
- 医療区分㉛:褥瘡
- 医療区分㉜:下肢末端の開放創
- 医療区分㉝:うつ症状
- 医療区分㉞:他者に対する暴行
- 医療区分㉟:喀痰吸引
- 医療区分㊱:気管切開・気管内挿管
- 医療区分㊲:創傷、皮膚潰瘍等
- 医療区分㊳:酸素療法
評価の要点(医療区分⑨:頻回の血糖検査)
医療区分⑨の頻回の血糖検査では、1日1回以上のインスリン製剤かソマトメジンC製剤の注射が必須なので注意が必要です。
また、それに加え1日3回以上の血糖検査を実施する必要があります。
評価票に記入をするときの確認事項
医療区分・ADL区分等に係る評価票にチェックをするときには、下記の内容についてきちんとできているか確認しましょう!!
「頻回の血糖検査を実施している状態」を定義に基づいて適切に分類している。
- 糖尿病に対するインスリン製剤、又はソマトメジンC製剤の注射を1日1回以上行っている。
- 1日3回以上の血糖検査が必要な病態を確認し診療録に記載している。
- 適切なコントロールを得る努力をしている。
- 検査日から3日間まで該当することを確認している。
※糖尿病についての各種検査を実施し記録をしている。
※糖尿病に対するインシュリン治療を行っているなどの、1日3回以上の頻回の血糖検査が必要な状態に限る。なお、検査日から3日間まで、本項目に該当するものとする。
評価票の記入例
医療区分⑨の頻回の血糖検査を実施している状態の医療区分・ADL区分等に係る評価票へのの記入例です。参考にされてください。
評価票の記入例①
糖尿病。インスリン製剤の注射を1日1回以上実施。1週間おきにグルコース検査実施。
日 | 状態 | 評価票 |
---|---|---|
1日目 | グルコース検査 (3回以上) | チェック可 |
2日目 | チェック可 | |
3日目 | チェック可 | |
4日目 | ||
5日目 | ||
6日目 | ||
7日目 | ||
8日目 | グルコース検査 (3回以上) | チェック可 |
9日目 | チェック可 | |
10日目 | チェック可 | |
11日目 |
評価票の記入例②
糖尿病。インスリン製剤の注射を1日1回以上実施。3日おきにグルコース検査実施。
日 | 状態 | 評価票 |
---|---|---|
1日目 | グルコース検査 (3回以上) | チェック可 |
2日目 | チェック可 | |
3日目 | チェック可 | |
4日目 | グルコース検査 (3回以上) | チェック可 |
5日目 | チェック可 | |
6日目 | チェック可 | |
7日目 | グルコース検査 (3回以上) | チェック可 |
8日目 | チェック可 | |
9日目 | チェック可 | |
10日目 | グルコース検査 (3回以上) | チェック可 |
11日目 | チェック可 |
Q&A(医療区分⑨:頻回の血糖検査)
以前、当サイトへのあった質問とその回答です。
医療区分の血糖測定の定義について[H29.12.9]
血糖測定を毎日1日3回をして、血糖値が異常で補正でインシュリンを使用した場合、インシュリンを使用した日のみの算定なのか、その日から3日間は算定がつけられるのか教えていただきたい。
【留意点】にありますように、1日3回以上血糖検査を実施している状態であり、糖尿病へのインスリン注射を行っているのであれば本項目に該当することと考えられます。
また、検査日から3日間は本項目に該当するとあるので、3日間は医療区分2として算定が可能かと思われます。
誰が血糖検査とインシュリン注射を行うのか?[H29.10.11]
血糖チェックを1日4回、インスリン注射を毎日実施している患者様についてお尋ねします。
この患者様は、血糖検査もインスリン注射もご自分で行っています。
医療区分の定義では誰が血糖検査やインスリン注射を行うかは問われていませんが、医療区分に当てはまるでしょうか?
医療区分に当てはまるとは思われますが、患者様がご自分で血糖検査を行われる場合も、診療録へ血糖検査の結果の記載が必要になりますので、看護師が血糖検査の結果を目視するなど工夫が必要かと思われます。
定義を満たしていない区分算定について[H29.10.1]
療養病棟で働いています。
インスリン注射を行い、1日3回以上の血糖検査を行うとその日から3日間は区分2になるということですが…週に1回、1日3回血糖検査をするとその血糖検査をした日から3日間が区分2になると解釈しています。
ですが、当病院ではそのままずっと区分2のままでとっているようです。
区分2のまま(検査日から3日間過ぎても)でとっていて問題はないのでようか?
監査が入らない限り、気づかないのですか?
保険点数は削られないのですか?
【留意点】にありますが、ご質問者様の解釈されているとおり「注射1回以上+血糖検査3回以上」で検査日から3日間の該当になります。
「医科点数表の解釈」の「医療区分・ADL区分に係る評価票 評価の手引き」において
”「医療区分・ADL区分に係る評価票」の記入に当たっては、各項目の「項目の定義」に該当するか否かを判定すること。また、各項目の評価の単位については、「評価の単位」及び「留意点」に従うこと。”
となっておりますので、【留意点】に従っていないことになります。
医療監視や適時調査において、その方の「診療録」と「医療区分・ADL区分に係る評価票」を照らし合わせてチェックが行われれば注意を受けることになると思われますが、各都道府県ごとで保健所や厚生局の調査方法に差異があると思いますのではっきりとは申し上げられません。
医療区分のチェックが正確に行われていないことは診療報酬上問題であると同時に患者様の支払いについても影響が出る問題でありますので、医事課内や看護部ときちんと話をし問題解決に努める必要があると考えられます。
入院当日の患者様について[H29.9.3]
療養病棟にお昼より入院された糖尿病の患者様について、入院当日インスリン注射を行い、お昼と夕方に血糖検査を行いました。
その日、医療区分の頻回の血糖検査をチェックできるでしょうか?
[留意点]に記載されているとおり、
- インスリン製剤、又はソマトメジンC製剤の注射を1日1回以上
- 血糖検査を1日3回以上
の2点を実施している状態で医療区分に該当することになります。
質問では、昼からの入院とのことでしたが、入院前は血糖検査をされてはいなかったでしょうか?
もしされているのであれば、3回以上になりますので本項目に該当することになると思われます。
患者様の予定や状態による算定について[H29.8.11]
頻回な血糖検査の区分について、1日1回のインスリン注射と週に3回、1日3回の血糖測定をしています。
検査の為、インスリン注射を1日中止した場合、その日は区分がとれないでしょうか?
また、亡くなられた日にインスリン注射をしていない場合、区分はとれないでしょうか?
「留意点」より、
- 糖尿病であること
- インスリン製剤、ソマトメジンC製剤の注射を1日1回以上行うこと
- 血糖検査を1日3回以上行うこと
を満たすことで本項目に該当することになっています。
また、本項目に該当した日より3日間まで区分に該当することになります。
なんらかの検査の為、インスリン注射を中止されるようですので、その日は本項目には該当しなくなりますが、その日が前回のインスリン注射と血糖検査後の3日以内であれば区分を算定することが可能かと考えられます。
亡くなられた日も同様に、前日か前々日に「インスリン注射」と「血糖検査」が行われたいれば、3日間までの区分の該当に当てはまるので、本項目に該当することになると考えられます。