(R6.5.31まで)【医療区分⑤】消化管等の体内からの出血が反復継続している状態
R6年度の診療報酬改定により、医療区分の評価は新しくなりました。
【医療区分⑤】消化管等の体内からの出血が反復継続している状態の概要
医療区分 | 算定期間 |
---|---|
医療区分2 | 算定期間に限りのある医療区分 7日間 |
項目の定義 | |
消化管等の体内からの出血が反復継続している状態 | |
評価の単位 | |
1日毎 | |
留意点 | |
本項目でいう消化管等の体内からの出血が反復継続している状態とは、例えば、黒色便、コーヒー残渣様嘔吐、喀血、痔核を除く持続性の便潜血が認められる状態をいう。 出血を認めた日から7日間まで、本項目に該当するものとする。 |
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≪算定期間に限りのある医療区分≫
- 医療区分①:24時間持続点滴
- 医療区分②:尿路感染症
- 医療区分③:リハビリテーション
- 医療区分④:脱水
- 医療区分⑤:消化管等からの出血
- 医療区分⑥:頻回の嘔吐
- 医療区分⑦:せん妄
- 医療区分⑧:経腸栄養
- 医療区分⑨:頻回の血糖検査
≪算定期間に限りのない医療区分≫
- 医療区分⑩:スモン
- 医療区分⑫:常時、監視・管理
- 医療区分⑬:中心静脈栄養
- 医療区分⑭:人工呼吸器
- 医療区分⑮:ドレーン法
- 医療区分⑯:気管切開・気管内挿管+発熱
- 医療区分⑰:酸素療法(高密度)
- 医療区分⑱:感染症の治療
- 医療区分⑲:筋ジストロフィー症
- 医療区分⑳:多発性硬化症
- 医療区分㉑:筋委縮性側索硬化症
- 医療区分㉒:パーキンソン病
- 医療区分㉓:その他の指定難病等
- 医療区分㉔:脊髄損傷
- 医療区分㉕:慢性閉塞性肺疾患
- 医療区分㉖:人工腎臓等
- 医療区分㉙:悪性腫瘍
- 医療区分㉚:肺炎
- 医療区分㉛:褥瘡
- 医療区分㉜:下肢末端の開放創
- 医療区分㉝:うつ症状
- 医療区分㉞:他者に対する暴行
- 医療区分㉟:喀痰吸引
- 医療区分㊱:気管切開・気管内挿管
- 医療区分㊲:創傷、皮膚潰瘍等
- 医療区分㊳:酸素療法
評価の要点(医療区分⑤:消化管等の体内からの出血)
医療区分⑤の「消化管等の体内からの出血が反復継続している状態」とは、消化管等からの出血が繰り返し続いている状態のことを表しています。
ただ、痔核などからの出血については当てはまらないので注意が必要です。
評価票に記入をするときの確認事項
医療区分・ADL区分等に係る評価票にチェックをするときには、下記の内容についてきちんとできているか確認しましょう!!
「消化管等の体内からの出血が反復継続している状態」を定義に基づいて適切に分類している。
- 黒色便、コーヒー残渣様嘔吐、喀血、痔核以外の持続性の便潜血を確認し、記録している。
- 体内出血の原因を明らかにする努力をしている。
- 診療計画を立てて治療を実施している。
- 医師が治癒を確認している。
※「消化管等からの体内からの出血が反復継続している状態」とは、例えば、黒色便、コーヒー残渣様嘔吐、喀血、痔核を除く持続性の便潜血が認められる状態をいう。
※出血を認めた日から7日間まで、本項目に該当するものとする。
評価票の記入例
医療区分⑤の「消化管等の体内からの出血が反復継続している状態」の医療区分・ADL区分等に係る評価票へのの記入例です。参考にされてください。
タール便が反復継続している状態を確認。処置、処方により4日目改善。
日 | 状態 | 評価票 |
---|---|---|
1日目 | タール便確認 処置 処方 | チェック可 |
2日目 | タール便確認 処置 | チェック可 |
3日目 | タール便確認 処置 | チェック可 |
4日目 | 症状改善 | チェック可 |
5日目 | 症状なし | チェック可 |
6日目 | 症状なし | チェック可 |
7日目 | 症状なし | チェック可 |
8日目 | 症状なし | 非該当 |
Q&A(医療区分⑤:消化管等の体内からの出血)
以前、当サイトへのあった質問とその回答です。
胃がんの患者の医療区分への該当について[H29.8.7]
「[5]消化管等の体内からの出血が反復継続している状態」についての質問です。
胃がんの患者様について積極的な治療は行っていませんが、下血等による貧血に対して輸血を行っています。
患者様の状態としては、ほぼ毎日出血傾向でありますが、区分の評価はどうなるでしょうか?
”出血が反復継続”していること、”出血を認めた日から7日間まで該当”ということなので、胃がんを原因とした下血が続いているのであれば出血が反復継続している状態にあたると考えられ本項目に該当すると思われます。
なお、出血を認めた日より7日間は本項目に該当しますので7日間は該当とし、その後8日目は非該当、9日目以降も下血が反復継続している状態であれば再度本項目に該当するものと考えられます。
消化管出血等の反復継続の回数は?[H29.1.31]
評価票の「5.消化管等の体内からの出血が反復継続している状態」について、”反復継続”とありますが、反復継続とは回数にすると何回でしょうか?一回ではだめでしょうか?
”反復継続”についての意味合いですが、
- 「反復」:同じことを何度も繰り返すこと。
- 「継続」:前から行っていることをそのまま続けること。または、そのまま続くこと。
なので、「消化管等の体内からの出血が反復継続している状態」とは、”消化管等の体内からの出血が何度も繰り返されそのまま続いている状態”だと考えられます。
医療区分の文面の解釈について[H29.1.30]
評価票の「5.消化管等の体内からの出血が反復継続している状態」について、留意点の説明で、”例えば、黒色便、コーヒー残渣様嘔吐、喀血、痔核を除く持続性の便潜血が認められる状態”とありますが、”黒色便から痔核を除く”と解釈していいでしょうか?
”例えば~”以降の解釈ですが、
黒色便、コーヒー残渣様嘔吐、喀血、痔核を除く持続性の便潜血
痔核を原因とする便潜血
便潜血の原因は、
- 「痔」がきれることにより便に血がつく。
- 「大腸がん」や「大腸ポリープ」の進行によりサイズが大きくなり、便が擦って血がつく。
の2つが考えられます。
早期の大腸がんや大腸ポリープでは、便が擦れずに通過する割合が多く便潜血は陰性になることが多いです。
そのため、便潜血の陽性反応の原因の大部分は、内痔核などの自覚症状のない痔が原因になることがほとんどです。