(R6.5.31まで)【医療区分⑫】医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態
R6年度の診療報酬改定により、医療区分の評価は新しくなりました。
【医療区分⑫】医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態の概要
医療区分 | 算定期間 |
---|---|
医療区分3 | 算定期間に限りのない医療区分 ー |
項目の定義 |
循環動態および呼吸状態が不安定なため、常時、動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等のバイタルサインを観察する必要がある等、医師及び看護職員により、24時間体制での監視及び管理を必要とする状態 |
評価の単位 |
1日毎 |
留意点 |
少なくとも連続して24時間以上「項目の定義」に該当する状態にあること。(初日を含む。) 動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等のバイタルサインが、少なくとも4時間以内の間隔で観察されていること。ただし、医師による治療方針に関する確認が行われていない場合は該当しない。 なお、当該項目は、当該項目を除く医療区分3又は医療区分2の項目に、1つ以上の該当項目がある場合に限り医療区分3として取り扱うものとし、それ以外の場合は医療区分2として取り扱うものとする。 |
- その他の「医療区分」を索引 ※クリックすると開きます
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≪算定期間に限りのある医療区分≫
- 医療区分①:24時間持続点滴
- 医療区分②:尿路感染症
- 医療区分③:リハビリテーション
- 医療区分④:脱水
- 医療区分⑤:消化管等からの出血
- 医療区分⑥:頻回の嘔吐
- 医療区分⑦:せん妄
- 医療区分⑧:経腸栄養
- 医療区分⑨:頻回の血糖検査
≪算定期間に限りのない医療区分≫
- 医療区分⑩:スモン
- 医療区分⑫:常時、監視・管理
- 医療区分⑬:中心静脈栄養
- 医療区分⑭:人工呼吸器
- 医療区分⑮:ドレーン法
- 医療区分⑯:気管切開・気管内挿管+発熱
- 医療区分⑰:酸素療法(高密度)
- 医療区分⑱:感染症の治療
- 医療区分⑲:筋ジストロフィー症
- 医療区分⑳:多発性硬化症
- 医療区分㉑:筋委縮性側索硬化症
- 医療区分㉒:パーキンソン病
- 医療区分㉓:その他の指定難病等
- 医療区分㉔:脊髄損傷
- 医療区分㉕:慢性閉塞性肺疾患
- 医療区分㉖:人工腎臓等
- 医療区分㉙:悪性腫瘍
- 医療区分㉚:肺炎
- 医療区分㉛:褥瘡
- 医療区分㉜:下肢末端の開放創
- 医療区分㉝:うつ症状
- 医療区分㉞:他者に対する暴行
- 医療区分㉟:喀痰吸引
- 医療区分㊱:気管切開・気管内挿管
- 医療区分㊲:創傷、皮膚潰瘍等
- 医療区分㊳:酸素療法
評価の要点(医療区分⑫:常時、監視・管理)
医療区分⑫の「医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態」は、患者様を24時間体制で監視及び管理し、その記録を4時間以内の間隔で観察する必要があります。
もちろん、観察だけではなく、観察したことを診療録に記載する必要があります。
評価票に記入をするときの確認事項
医療区分・ADL区分等に係る評価票にチェックをするときには、下記の内容についてきちんとできているか確認しましょう!!
「医師及び看護師により、常時、監視及び管理を実施している状態」を定義に基づいて適切に分類している。
- 常時、動脈血酸素飽和度、血圧、呼吸等のバイタルサインが観察されている。
- 医師及び看護職員により、24時間体制での監視および管理が実施されている。
※少なくとも24時間以上「項目の定義」に該当する状態であること(初日を含む)。
※動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等のバイタルサインが、少なくとも4時間以内の間隔で観察されていること。
※医師により確認が行われていることを確認する。
※評価の単位は1日毎とする。
Q&A(医療区分⑫:常時、監視・管理)
以前、当サイトへのあった質問とその回答です。
監視モニタの記録用について[H29.12.10]
「[12]医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態」とは、モニタリング4時間ごとの管理、記録と認識していますが、その記録にはモニタリングのモニタを記録用紙に残していますがこれは必須でしょうか?
監査の際には、モニター用紙を記録として残しておかなければダメでしょうか?
今の病院は残していて、電子カルテになってからも残すようにしています。
モニター使用時には、診療録にモニター用紙を添付し、また添付のみではなく、観察時に診療録への記入を行うことが必要かと思われます。
異常がある場合だけの記録ではなく、異常がなく安定している場合の記録も患者様に対する治療、看護において重要になると思われます。
心電図の必要性と医師による治療方針[H29.1.16]
(H29.1.11質問分の追加の質問)
質問:H29.1.11の件ですが、当院では「コヴィディエンのサットメッセージ」を使用していますが、心電図も常時監視しなくてはいけないでしょうか?
また、医師による治療方針は毎日、それとも初回だけですか?
質問を2つにわけて回答します。
①心電図も常時監視しなくてはいけないでしょうか?
《項目の定義》において、 ”動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等” とあります。
「等」と記載されているので、必ずしも心電図を監視する必要はないと考えられます。
「サットメッセージ」では、動脈血酸素飽和度(SPO2)と脈拍数(PR)を病棟詰所で常時監視することができ、 ”[12]医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態” に該当することになると考えらます。
ですが、患者様の病態においては、心電図や血圧も常時監視する必要もあると思われますので、その場合は、「セントラルモニタ」を使用し、常時監視できる状態に保つことが必要かと思われます。
②医師による治療方針は毎日、それとも初回だけですか?
医師の治療の方法ついては、主治医ごとで様々です。
そのため、常時監視になった時点でまず、主治医より指示があると思われますので、それに従うのが良いかと思われます。
ただ、患者様は常時監視する状態にあり、変化をきたしやすいかと思われます。
変化をきたした場合には、その時の状態に合わせて治療方針は変わると思われますので、初回のみというのは難しいかと考えられます。
医師の診療録への記載については、「医師法」「療養担当規則」等に定められていますので、そちらをご参照ください。
第二四条 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
2 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。
(診療録の記載)
第二十二条 保険医は、患者の診療を行つた場合には、遅滞なく、様式第一号又はこれに準ずる様式の診療録に、当該診療に関し必要な事項を記載しなければならない。
記録のしかた[H29.1.11]
療養型医療報酬について。
「12 医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態」とありますが、バイタルサイン(SPO2)を4時間以内ごとに記録すればよいと認識してよいでしょうか?
24時間で6回の記録があればよいということでしょうか?
系列病院の監査で、SPO2の装着人数が多いと言われましたが、適応患者及びしっかりとした記録があれば問題はないと思っています。いかがでしょうか?
質問を3つにわけて回答します。
①バイタルサイン(SPO2)を4時間以内ごとに記録すれば区分に該当するか?
《項目の定義》 《留意点》にあるように、「24時間体制での監視及び管理を必要とする状態」とあるので、セントラルモニタ等を使用し、常に、医師や看護師によりバイタルサイン(動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等)を観察できるようにする必要があると考えられます。
ご質問では、SPO2を4時間以内に記録されているようですが、他の項目についても監視されていますでしょうか?
常に、バイタルサイン(動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等)を観察できるようにするためには、セントラルモニタなどを使用し、病棟詰所での監視及び管理が必要であると考えられます。
その際、SPO2以外の項目についても4時間以内ごとに診療録に記載する必要があると考えられます。
②24時間で6回の記録があれば区分に該当するか?
《項目の定義》 《留意点》にあるように、「少なくとも4時間以内の間隔で観察されていること」とあるので、「24時間で6回の記録があれば」 ではなく、「24時間で最低6回以上の記録を4時間以内ごと」が必要になると考えられます。
また、「医師による治療方針に関する確認が行われていない場合には該当しない」とあるので、バイタルサインの記入とともに、バイタルサインに基づく医師の治療方針の記入も必要になると考えられます。
③適応患者と記録について
『【医療区分⑫】医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態』に該当する適応患者と記録は、以下のとおりになります。
- 「循環動態、及び呼吸状態が不安定」である
- 常時(常に、いつも)、セントラルモニタ等によりバイタルサインを観察
※バイタルサイン ⇒ 動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等 - 24時間で最低6回以上(4時間以内ごと)の記録
- 医師による治療方針の確認
モニタリングのしかた[H28.12.19]
モニターやサーチレーションセンサーをつけていなくても、酸素飽和度や血圧を4時間ごとに記録していれば、24時間体制のモニタリングと言えますか?
まず、《項目の定義》についてですが
- 「循環動態、及び呼吸状態が不安定」である。
- 「①」のために、常時(常に、いつも)、バイタルサインを観察する必要がある。
- 「①」「②」のために、医師及び看護師により、24時間体制での監視及び管理が必要である。
「①・②・③」を踏まえ、常に患者様の状態を観察できるようにモニターを使用しないといけないと考えられます。
次に、《留意点》についてですが「連続して24時間以上【項目の定義】に該当する状態にあること」とあるので、24時間以上モニターを使用している状態に該当する必要があると考えられます。
その上で、バイタルサインを4時間以内の間隔で観察する必要があると考えられます。
なお、医師による治療方針の確認が必須なので、4時間以内のバイタルサイン、及び医師による治療方針を診療録に記入することが必要になると考えられます。
看護記録に必要なもの[H28.6.13]
[12] は看護記録に心電図の波形、レートの記述をしなければとれませんか?
バイタル測定だけではダメでしょうか?
[12]の項目ですが”医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態”とされています。
- 常時 ⇒ つねに、いつも
- 監視 ⇒ 見ている
- 常時、監視 ⇒ つねに見ている状態
つまり、「セントラルモニタ」を使用し、動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等が ”つねに観察できる状態” でないといけません。
ご質問は「バイタル測定」とされていますが、定期的な血圧測定、体温測定、脈拍測定などのことでしょうか?
もし、そうならば[12]はチェックすることはできないと思われます。
ちなみに、[12]をチェックする場合には、下記の内容をきちんとできているか確認してください。
常時、動脈血酸素飽和度、血圧、呼吸等のバイタルサインが観察されている。
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「常時、観察」なのでセントラルモニタを使用する必要があります。
医師及び看護職員により、24時間体制での監視および管理が実施されている。
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「24時間体制での監視、管理」なのでセントラルモニタを使用する必要があります。
少なくとも24時間以上「項目の定義」に該当する状態であること(初日を含む)。
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24時間以上なので、少しの時間だけセントラルモニタを使用しただけでは該当しません。
動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等のバイタルサインが、少なくとも4時間以内の間隔で観察されていること。
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「4時間以内の間隔で観察」なので、診療録には、最低でも6回以上(24時間/4=6回)の記録が必要になります。