【A101療養病棟入院基本料】施設基準に関する記載事項と解釈
A101療養病棟入院基本料 注1:抜粋
療養病棟入院基本料の施設基準については、「A101療養病棟入院基本料 注1」に以下のように記載されています。
【A101療養病棟入院基本料 注1:抜粋】
病院の療養病棟(医療法第7条第2項第4号に規定する療養病床(以下「療養病床」という。)に係る病棟として地方厚生局長等に届け出たものをいう。以下この表において同じ。)であって、看護配置、看護師比率、看護補助配置その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者(第3節の特定入院料を算定する患者を除く。)について、当該基準に係る区分及び当該患者の疾患、状態、ADL等について別に厚生労働大臣が定める区分に従い、当該患者ごとにそれぞれ所定点数を算定する。
上記の抜粋を簡単にまとめると、以下のようになります。
病院の療養病棟であって「厚生労働大臣が定める施設基準」に適合しているものとして厚生局に届け出た病棟について、「厚生労働大臣が定める区分」に従い、所定点数を算定する。
ここで、黄色下線を引いた「厚生労働大臣が定める施設基準」と「厚生労働大臣が定める区分」については、以下のように記載があります。
【厚生労働大臣が定める施設基準及び厚生労働大臣が定める区分「注1」「注10」「注11」「注12」「注13」】
「診療方針に関する法令編」に掲載の「基本診療料の施設基準等」(平成20年3月厚生労働省告示第62号)の第五の三の(1)、(2)、(6)、(7)、(8)、(9)を参照。
医科点数表の解釈に記載があるように、「厚生労働大臣が定める施設基準」と「厚生労働大臣が定める区分」については、「基本診療料の施設基準等」の第五の三の(1)、(2)、(6)、(7)、(8)、(9)を参照するようになっています。
「基本診療料の施設基準等」の第五の三の各項目は以下のようになっており、施設基準についての内容は(1)の部分になります。
【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】
(1)療養病棟入院基本料の注1本文に規定する入院料の施設基準
(2)療養病棟入院基本料の注1本文に規定する厚生労働大臣が定める区分
(3)療養病棟入院基本料に含まれる画像診断及び処置の費用並びに含まれない除外薬剤・注射薬の費用
(4)療養病棟入院基本料に含まれるリハビリテーションの費用
(5)療養病棟入院基本料の注4に規定する厚生労働大臣が定める状態
(6)在宅復帰機能強化加算の施設基準
(7)経腸栄養管理加算の施設基準
(8)夜間看護加算の施設基準
(9)看護補助体制充実加算の施設基準
「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等(1)
「基本診療料の施設基準等」の第五の三の各項目は以下のようになっています。
【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】
(1)療養病棟入院基本料の注1本文に規定する入院料の施設基準
(2)療養病棟入院基本料の注1本文に規定する厚生労働大臣が定める区分
(3)療養病棟入院基本料に含まれる画像診断及び処置の費用並びに含まれない除外薬剤・注射薬の費用
(4)療養病棟入院基本料に含まれるリハビリテーションの費用
(5)療養病棟入院基本料の注4に規定する厚生労働大臣が定める状態
(6)在宅復帰機能強化加算の施設基準
(7)経腸栄養管理加算の施設基準
(8)夜間看護加算の施設基準
(9)看護補助体制充実加算の施設基準
その中で、施設基準については(1)の部分に記載があり、その内訳は以下のようになっています。
【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】
【(1)療養病棟入院基本料の注1本分に規定する入院料の施設基準】
[イ 通則]
①看護職員数
②看護職員の最小必要数
③監護補助者数
④褥瘡の発生割合等
⑤医療区分・ADL区分の評価・記録
⑥中心静脈注射用カテーテルに関する規定
⑦データ提出加算に係る届出
[ロ 療養病棟入院料1の施設基準]
[ハ 療養病棟入院料2の施設基準]
[イ 通則]①:看護職員数
【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】
【(1)療養病棟入院基本料の注1本分に規定する入院料の施設基準 イ 通則】
① 当該病棟において、1日に看護を行う看護職員の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が20又はその端数を増すごとに1以上であること。ただし、当該病棟において、1日に看護を行う看護職員の数が本文に規定する数に相当する数以上である場合には、各病棟における夜勤を行う看護職員の数は、本文の規定にかかわらず、1以上であることとする。
療養病棟入院基本料1・2を算定する看護職員の数は、「入院患者の数が20又はその端数を増すごとに1以上」が必要となっています。
これは、入院患者数20人に対して1人以上の看護職員が必要ということを意味していて、「20対1の看護体制」として表します。
この「20対1の看護体制」は、単純な患者数と看護職員数の人数の比率で計算するものではなく、看護職員の勤務時間数で計算する必要があるので注意が必要です。
また、夜勤は必ず1人以上の看護職員が行う必要があります。
療養病棟入院基本料の施設基準「看護職員の数」
看護職員数は「20:1の看護体制」
比率は看護職員の勤務時間数で計算する
夜勤は必ず「看護職員1人以上の配置」
[イ 通則]②:看護職員の最小必要数
【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】
【(1)療養病棟入院基本料の注1本分に規定する入院料の施設基準 イ 通則】
② 当該病棟において、看護職員の最小必要数の2割以上が看護師であること。
看護職員の資格には”看護師”と”准看護師”の2つがありますが、療養病棟入院基本料の施設基準においては、その療養病棟に必要な看護職員の勤務時間数に対して看護師の勤務時間数が2割以上である必要があります。
ここでの看護師の割合は、その病棟に勤務する看護師の人数の割合ではなく、勤務時間数で割合の計算をしなくてはいけません。
また、このときの勤務時間数の合計はその病棟に必要な看護師の時間数で計算する必要があります。
療養病棟入院基本料の施設基準「看護職員の最小必要数」
”看護師”と”准看護師”の割合
看護師の割合が2割以上
比率は看護職員と准看護師の勤務時間数で計算する
[イ 通則]③:看護補助者数
【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】
【(1)療養病棟入院基本料の注1本分に規定する入院料の施設基準 イ 通則】
③ 当該病棟において、1日に看護補助を行う看護補助者の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が20又はその端数を増すごとに1に相当する数以上であることとする。なお、主として事務的業務を行う看護補助者を含む場合は、1日に事務的業務を行う看護補助者の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が200又はその端数を増すごとに1に相当する数以下であること。
療養病棟入院基本料1・2を算定する看護補助者の数は、「入院患者の数が20又はその端数を増すごとに1以上」が必要となっています。
これは、入院患者数20人に対して1人以上の看護補助者が必要ということを意味していて、「20対1の看護補助者体制」として表します。
この「20対1の看護補助者体制」は、単純な患者数と看護補助者職員数の人数の比率で計算するものではなく、看護補助者職員の勤務時間数で計算する必要があるので注意が必要です。
また、事務的業務を行う看護補助者がいる場合には、入院患者の数200人に対して1人以下の状態である必要があります。
療養病棟入院基本料の施設基準「看護補助者の数」
看護補助者職員数は「20:1の看護補助者体制」
比率は看護補助者職員の勤務時間数で計算する
事務的業務を行う看護補助者は「入院患者の数200人に対して1人以下」
[イ 通則]④:褥瘡の発生割合等
【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】
【(1)療養病棟入院基本料の注1本分に規定する入院料の施設基準 イ 通則】
④ 当該病棟に入院している患者に係る褥瘡の発生割合等について継続的に測定を行い、その結果に基づき評価を行っていること。
療養病棟入院基本料1・療養病棟入院基本料2の施設基準では、入院患者に対して褥瘡の発生割合などについて継続的な測定を実施するように定められています。
また、その結果に基づいて褥瘡の評価を行う必要があります。
療養病棟入院基本料の施設基準「褥瘡の発生割合等」
褥瘡の発生割合等について継続的に測定を行い、その結果に基づき評価
[イ 通則]⑤:医療区分・ADL区分の評価・記録
【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】
【(1)療養病棟入院基本料の注1本分に規定する入院料の施設基準 イ 通則】
⑤ 当該病棟の入院患者に関する(2)の区分に係る疾患及び状態等並びにADLの判定基準による判定結果について、記録していること。
療養病棟入院基本料1・療養病棟入院基本料2の施設基準では、入院している患者について医療区分・ADL区分の評価を行い、入院料を決定するように定められています。
医療区分・ADL区分の評価には「医療区分・ADL区分等に係る評価票」を用いて日々の患者の状態の評価を行います。
療養病棟入院基本料の施設基準「医療区分・ADL区分の評価・記録」
「医療区分・ADL区分等に係る評価票」を用いた状態の評価
[イ 通則]⑥:中心静脈注射用カテーテルに関する規定
【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】
【(1)療養病棟入院基本料の注1本分に規定する入院料の施設基準 イ 通則】
⑥ 中心静脈注射用カテーテルに係る感染を防止するにつき十分な体制が整備されていること。
療養病棟入院基本料1・療養病棟入院基本料2の施設基準では、中心静脈注射用カテーテルに対しての感染防止に関する指針を作るように定められています。
療養病棟入院基本料の施設基準「中心静脈注射用カテーテルへの体制」
中心静脈注射用カテーテルへの感染防止に対する十分な体制の整備
[イ 通則]⑦:データ提出加算に係る届出
【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】
【(1)療養病棟入院基本料の注1本分に規定する入院料の施設基準 イ 通則】
⑦ データ提出加算に係る届出を行っている保険医療機関であること。ただし、新規に保険医療機関を開設する場合であって療養病棟入院料2に係る届出を行う場合その他やむを得ない事情があるときを除く。
療養病棟入院基本料の施設基準では、データ提出加算に係る届出を行う必要があります。
ただし、やむを得ない事情があるときには、「データ提出加算の届出を行うことが困難であることについての理由書」を提出します。
療養病棟入院基本料の施設基準「データ提出加算」
「データ提出加算」に係る届出を行う
やむを得ない事情があるときには理由書の提出を行う
[ロ 療養病棟入院基本料1の施設基準]
【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】
【(1)療養病棟入院基本料の注1本分に規定する入院料の施設基準 ロ 療養病棟入院基本料1の施設基準】
当該病棟の入院患者のうち別表第五のニの一に掲げる疾患・状態にある患者及び同表のニに掲げる処置等が実施されている患者(以下単に「医療区分3の患者」という。)と別表第五の三の一に掲げる疾患・状態にある患者及び同表のニに掲げる処置等が実施されている患者並びに同表の三に掲げる患者(以下単に「医療区分2の患者」という。)との合計が8割以上であること。
療養病棟入院基本料の施設基準「療養病棟入院基本料1の施設基準」
療養病棟入院基本料1の届出を行っている病棟では、医療区分3と医療区分2の患者の割合が全体の8割以上である必要があります。
[ハ 療養病棟入院基本料2の施設基準]
【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】
【(1)療養病棟入院基本料の注1本分に規定する入院料の施設基準 ハ 療養病棟入院基本料2の施設基準】
当該病棟の入院患者のうち医療区分3の患者と医療区分2の患者との合計が5割以上であること。
療養病棟入院基本料の施設基準「療養病棟入院基本料2の施設基準」
療養病棟入院基本料2の届出を行っている病棟では、医療区分3と医療区分2の患者の割合が全体の5割以上である必要があります。