令和6年度診療報酬改定の概要(慢性期入院医療)
令和6年度診療報酬改定の概要が厚生労働省のHPにアップされました。
しっかり確認して準備しておきましょう。
令和6年度診療報酬改定の概要 入院Ⅳ(慢性期入院医療)
令和6年度診療報酬改定に伴う説明会(集団指導)における動画資料です。
確認しておきましょう。
療養病棟入院基本料の見直しの背景
- 療養病棟入院基本料の注 11 に規定されている経過措置について、看護配置 25 対1のみならず、医療区分2・3の該当患者割合が5割未満の取扱いも併せて廃止するべき。
- 療養病棟入院基本料2について、医療区分2・3の該当患者割合の基準を現行の5割から厳格化し、医療の必要性が低い患者を介護施設で対応する流れを強化するべき。
- 療養病棟入院基本料の医療区分について、「疾患・状態」が定義に該当した場合と「処置等」が定義に該当した場合で医療資源の投入量に違いがあることを踏まえ、「疾患・状態」と「処置等」を別の区分に切り離したうえで、適正化の視点も考慮しつつ、医療資源の投入量を反映したメリハリのある評価に精緻化するべき。
- 療養病棟入院基本料1の入院料Iについて、医療区分とADL区分が最も低い一方で、リハビリテーションの算定が多い実態を踏まえ、評価を適正化し、医療の質の観点から、リハビリテーション機能を備えた病棟での対応を促すべき。
- 中心静脈栄養について、可能な限り速やかな抜去が患者のためであり、医療資源の有効な活用にも資することから、医療区分3の「中心静脈栄養を実施している状態」を真に中心静脈栄養が必要な患者に限定するとともに、評価の日数に上限を設けるべき。
療養病棟入院基本料の見直しの概要
療養病棟入院基本料については、以下の見直しが行われます。
①医療区分に係る評価体系の見直し
- 医療区分とADL区分に基づく9分類となっている現行の療養病棟入院基本料について、疾患・状態に係る3つの医療区分、処置等に係る3つの医療区分および3つのADL区分に基づく27分類及びスモンに関する3分類の合計30分類の評価に見直す。
- 療養病棟入院基本料の疾患及び状態に着目した医療区分について、疾患・状態及び処置等に着目した医療区分に見直す。
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②療養病棟における中心静脈栄養の評価の見直し
中心静脈栄養について、患者の疾患及び状態並びに実施した期間に応じた医療区分に見直す。
また、中心静脈栄養を終了後7日間に限り、終了前の医療区分により算定することができる。
③療養病棟におけるリハビリテーションの評価の見直し
医療区分・ADL区分ともに1である入院料27(従前の入院料I)について、1日につき2単位を超える疾患別リハビリテーション料を包括範囲に含める。
④療養病棟入院基本料注11に規定する経過措置の廃止
療養病棟入院基本料の注11に規定する経過措置を廃止する。
⑤療養病棟における適切な経腸栄養管理に係る評価の新設
療養病棟に入院中の患者に対し、「静脈経腸栄養ガイドライン」等を踏まえた栄養管理に係る説明を実施した上で、新たに経腸栄養を開始した場合に一定期間算定可能な経腸栄養管理加算を新設する。
療養病棟入院基本料の医療区分に係る評価体系の見直し
疾患・状態と処置等の医療区分と医療資源投入量の関係性を踏まえ、医療区分とADL区分に基づく9分類となっている現行の療養病棟入院基本料について、疾患・状態に係る3つの医療区分、処置等に係る3つの医療区分および3つのADL区分に基づく27分類及びスモンに関する3分類の合計30分類の評価に見直す。
療養病棟入院基本料の疾患及び状態に着目した医療区分について、疾患・状態及び処置等に着目した医療区分に見直す。
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療養病棟入院基本料の概要
【療養病棟入院基本料1】
- 看護配置:20:1以上
- 医療区分2・3の患者が8割以上
【療養病棟入院基本料2】
- 看護配置20:1以上
- 医療区分2・3の患者が5割以上
これまでは、A~Iの9段階の基本料であったが、入院料1~入院料30までの30段階の基本料に変更。
ADL区分は現行のまま変更なし。
- ADL区分3: 23点以上
- ADL区分3: 11点以上~23点未満
- ADL区分3: 11点未満
当日を含む過去3日間の全勤務帯における患者に対する支援のレベルについて、下記の4項目に0~6の範囲で最も近いものを記入し合計する。
新入院(転棟)の場合は、入院(転棟)後の状態について評価する。
項目 | 支援のレベル |
---|---|
a ベッド上の可動性 | 0 ~ 6 |
b 移乗 | 0 ~ 6 |
c 食事 | 0 ~ 6 |
d トイレの使用 | 0 ~ 6 |
合計点 | 0 ~ 24 |
中心静脈栄養に係る評価の見直し
療養病棟における中心静脈栄養について、患者の疾患及び状態並びに実施した期間に応じた医療区分に見直す。
中心静脈栄養を終了後7日間に限り、終了前の医療区分により算定することができる。
医療区分3:中心静脈注射を実施している状態
医療区分2:(新設)
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医療区分3:
中心静脈栄養(療養病棟入院基本料を算定する場合にあっては、広汎性腹膜炎、腸閉塞、難治性嘔吐、難治性下痢、活動性の消化管出血、炎症性腸疾患、短腸症候群、消化管瘻若しくは急性膵炎を有する患者を対象とする場合又は中心静脈栄養を開始した日から30日以内の場合に実施するものに限る。)
医療区分2:
中心静脈栄養(広汎性腹膜炎、腸閉塞、難治性嘔吐、難治性下痢、活動性の消化管出血、炎症性腸疾患、短腸症候群、消化管瘻又は急性膵炎を有する患者以外を対象として、中心静脈栄養を開始した日から30日を超えて実施するものに限る。)
経腸栄養管理加算の新設
療養病棟に入院中の患者に対し、静脈経腸栄養ガイドライン等を踏まえた栄養管理に係る説明を実施した上で、新たに経腸栄養を開始した場合に一定期間算定可能な経腸栄養管理加算を新設する。
(新) 経腸栄養管理加算(1日につき) 300点
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が、療養病棟入院基本料を算定している患者について、経腸栄養を開始した場合、入院中1回に限り、経腸栄養を開始した日から7日を限度として所定点数に加算する。
この場合において、栄養サポートチーム加算、入院栄養食事指導料、集団栄養食事指導料は別に算定できない。
- 栄養サポートチーム加算を届け出ていること、又は、療養病棟における経腸栄養管理を担当する専任の管理栄養士を1名以上配置していること。
- 内視鏡下嚥下機能検査、又は、嚥下造影を実施する体制を有していること。なお、当該検査等については、耳鼻咽喉科又はリハビリテーション科その他必要な診療科を標榜する他の保険医療機関との協力により確保することでも差し支えない。
注11に規定する経過措置の廃止
医療法に基づく医療療養病床の人員配置標準に係る経過措置の終了を踏まえ、療養病棟入院基本料の注11に規定する経過措置を廃止した上で、廃止される経過措置のうち、入院患者のうち医療区分三の患者と医療区分二の患者との合計が五割以上の要件については、令和6年9月30日までの経過措置を設ける。
[算定要件]
注11:
注1に規定する病棟以外の病棟であって、注1に規定する療養病棟入院料2の施設基準のうち別に厚生労働大臣が定めるもののみに適合しなくなったものとして地方厚生局長等に届け出た場合(別に厚生労働大臣が定める基準を満たす場合に限る。)に限り、注2の規定にかかわらず、当該病棟に入院している患者(略)の100分の75に相当する点数を算定する。
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(削除)
療養病棟における適切なリハビリテーションの推進
適切なリハビリテーションを推進する観点から、医療区分、ADL区分ともに1である入院料27(従前の入院料I)について、1日につき2単位を超える疾患別リハビリテーション料を包括範囲に含める。
[施設基準]
(4) 療養病棟入院基本料に含まれるリハビリテーションの費用入院中の患者に対する心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料であって一日につき二単位を超えるもの(略)の費用(療養病棟入院基本料の注11に規定する場合であって、当該入院基本料を算定する患者に対して、一月に一回以上、機能的自立度評価法(Functional Independence Measure)の測定を行っていな
いときに限る。)は、当該入院基本料に含まれるものとする。
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[施設基準]
(4) 療養病棟入院基本料に含まれるリハビリテーションの費用入院中の患者に対する心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料であって一日につき二単位を超えるもの(略)の費用(療養病棟入院料1の入院料27および療養病入院料2の入院料27を算定する日に限る。)は、当該入院基本料に含まれるものとする。
療養病棟入院基本料に係る医療区分について
疾患・状態 | 処置等 | |
---|---|---|
医療区分3 | ・スモン ・医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態 | ・中心静脈栄養(療養病棟入院基本料を算定する場合にあっては、広汎性腹膜炎、腸閉塞、難治性嘔吐、難治性下痢、活動性の消化管出血、炎症性腸疾患、短腸症候群、消化管瘻若しくは急性膵炎を有する患者を対象とする場合又は中心静脈栄養を開始した日から30日以内の場合に実施すものに限る) ・二十四時間持続点滴 ・人工呼吸器の使用 ・ドレーン法又は胸腔若しくは腹腔の洗浄 ・気管切開又は気管内挿管(発熱を伴う状態の患者に対するものに限る) ・酸素療法(密度の高い治療を要する状態の患者に対するものに限る) ・感染症の治療の必要性から実施する隔離室での管理 |
医療区分2 | ・筋ジストロフィー症 ・多発性硬化症 ・筋萎縮性側索硬化症 ・パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度の状態に限る。)) ・その他の指定難病等(スモンを除く。) ・脊髄損傷(頸椎損傷を原因とする麻痺が四肢全てに認められる場合に限る。) ・慢性閉塞性肺疾患(ヒュー・ジョーンズの分類がⅤ度の状態に該当する場合に限る。) ・悪性腫瘍(医療用麻薬等の薬剤投与による疼痛コントロールが必要な場合に限る。) ・消化管等の体内からの出血が反復継続している状態 ・他者に対する暴行が毎日認められる状態 | ・中心静脈栄養(広汎性腹膜炎、腸閉塞、難治性嘔吐、難治性下痢、活動性の消化管出血、炎症性腸疾患、短腸症候群、消化管瘻又は急性膵炎を有する患者以外を対象とし、中心静脈栄養を開始した日から30日を超えて実施するものに限る) ・肺炎に対する治療 ・尿路感染症に対する治療 ・傷病等によるリハビリテーション(原因となる傷病等の発症後、三十日以内の場合で、実際にリハビリテーションを行っている場合に限る) ・脱水に対する治療(発熱を伴う状態の患者に対するものに限る) ・頻回の嘔吐に対する治療(発熱を伴う状態の患者に対するものに限る) ・褥瘡に対する治療(皮膚層の部分的喪失が認められる場合又は褥瘡が二箇所以上に認められる場合に限る。) ・末梢循環障害による下肢末端の開放創に対する治療 ・せん妄に対する治療 ・うつ症状に対する治療を ・人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜灌流又は血漿交換療法 ・経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養(発熱又は嘔吐を伴う状態の患者に対するものに限る) ・一日八回以上の喀痰(かくたん)吸引 ・気管切開又は気管内挿管が行われている状態(発熱を伴う状態を除く) ・頻回の血糖検査 ・創傷(手術創や感染創を含む。)、皮膚潰瘍又は下腿(たい)若しくは足部の蜂巣炎、膿(のう) 等の感染症に対する治療を ・酸素療法(密度の高い治療を要する状態を除く) |