生化学検査

HDL-コレステロール(HDL-C)|検査の基準値

クワホピ

HDL-コレステロール(HDL-C)の概要

HDL-Cは、「High-Density Lipoprotein Cholesterol」を略したものです。

HDL-コレステロールは、血液中の「善玉コレステロール」と呼ばれる脂質の一種です。

HDLは肝臓で生成され、血液中を流れながら余分なコレステロールを回収するため、動脈硬化の予防に役立ちます。

肝臓で合成されるリポ蛋白

肝臓で合成されるリポ蛋白には、比重の異なる4つのものがあります。

このうち、高比重リポ蛋白(HDL)に含まれるコレステロールが、「HDL-コレステロール」です。

比重による分類中性脂肪量蛋白量
カイロミクロン多い少ない
超低比重リポ蛋白
(VLDL)
低比重リポ蛋白
(LDL)
高比重リポ蛋白
(HDL)
少ない多い

HDL-コレステロールの役割

① 余分なコレステロールの回収

  • HDLは血管内に蓄積した余分なコレステロールを回収し、肝臓へ運びます。
  • 肝臓で処理されたコレステロールは胆汁として排泄されます。

② 動脈硬化の予防

  • LDL(悪玉コレステロール)の酸化を抑え、血管の炎症を軽減する作用があります。
  • 血管の柔軟性を保ち、心血管疾患のリスクを下げます。

HDL-コレステロールの基準値

分類HDL-C値(mg/dL)
低値(要注意)40未満
適正範囲40~60
高値(良好)60以上
極端に高すぎる場合100以上

HDL-コレステロールが低値の場合

HDL-コレステロールが低値(40mg/dL未満)の場合には、以下のことが考えられます。

  • 動脈硬化(虚血性心疾患、脳梗塞など)
  • 肝疾患(肝炎、肝硬変、脂肪肝)
  • 糖尿病、肥満、甲状腺機能亢進症
  • アポリポ蛋白A欠損症
  • 高リポ蛋白血症

HDL-コレステロールが極端に高値の場合

HDL-コレステロールが極端に高値(100mg/dL以上)の場合には、以下のことが考えられます。

  • コレステロールエステル転送蛋白欠損症
  • 原発性胆汁性肝硬変
  • 薬物投与
  • 遺伝的要因による異常値
  • 炎症を伴うHDL(機能不全HDL)による血管への悪影響

HDL-コレステロールを増やす方法

運動の習慣化

  • 有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳)を週3~5回行う。
  • 筋トレも併用することも効果的である。

健康的な食事

  • 良質な脂質の摂取
    • オリーブオイル、ナッツ類、青魚(DHA・EPA)を積極的に摂る。
  • トランス脂肪酸を避ける
    • 揚げ物やマーガリン、加工食品の過剰摂取を控える。

適正な体重の維持

  • 肥満を防ぐことでHDLの働きが向上する。

禁煙

  • 喫煙はHDL-Cを低下させる要因になります。

アルコールの過剰摂取をしない

  • 適量の赤ワインや日本酒はHDLを増やすが、過剰摂取は逆効果になります。
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