療養病棟入院基本料における「在宅復帰機能強化加算」の算定
医科点数表の解釈での「在宅復帰機能強化加算」の記載内容
療養病棟入院基本料における在宅復帰機能強化加算については、医科点数表の解釈において以下のように記載があります。
【A101 療養病棟入院基本料 注10】
療養病棟入院料1を算定する病棟において、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者については、在宅復帰機能強化加算として、1日につき50点を所定点数に加算する。
ここで、黄色下線を引いた「厚生労働大臣が定める施設基準」については、以下のように記載があります。
【厚生労働大臣が定める施設基準及び厚生労働大臣が定める区分「注1」「注10」「注11」「注12」「注13」】
「診療方針に関する法令編」に掲載の「基本診療料の施設基準等」(平成20年3月厚生労働省告示第62号)の第五の三の(1)、(2)、(6)、(7)、(8)、(9)を参照。
在宅復帰機能強化加算についての記載は、(6)がそれにあたります。
【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】
(1)療養病棟入院基本料の注1本文に規定する入院料の施設基準
(2)療養病棟入院基本料の注1本文に規定する厚生労働大臣が定める区分
(3)療養病棟入院基本料に含まれる画像診断及び処置の費用並びに含まれない除外薬剤・注射薬の費用
(4)療養病棟入院基本料に含まれるリハビリテーションの費用
(5)療養病棟入院基本料の注4に規定する厚生労働大臣が定める状態
(6)在宅復帰機能強化加算の施設基準
(7)経腸栄養管理加算の施設基準
(8)夜間看護加算の施設基準
(9)看護補助体制充実加算の施設基準
【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】
【(6)在宅復帰機能強化加算の施設基準】
在宅復帰支援を行うにつき十分な体制及び実績を有していること。
「A101 療養病棟入院基本料 注10」に対する右欄の記載
「A101 療養病棟入院基本料 注10」に対する右欄の記載は以下の通りです。
【療養病床入院基本料について:抜粋】
(16) 「注 10」に規定する在宅復帰機能強化加算は、在宅復帰機能の高い病棟を評価したものである。なお、特別入院基本料を算定する場合は、当該加算は算定できない。
「在宅復帰機能強化加算」に関する事務連絡
「在宅復帰機能強化加算」に関する事務連絡の記載は以下の通りです。
【療養病床入院基本料に関する事務連絡:抜粋】
問 在宅復帰機能強化加算について、病棟ごとの算定ができると理解しているが、療養病棟入院基本料1(編注;療養病棟入院料1)を算定している全病棟を一体として算定すべきか。
答 病棟単位であり、全病棟ではない。加算を算定する病棟と算定しない病棟が混在することができる。
(平26.4.23 その4・問3)
基本診療料の施設基準等(通知)
基本診療料の施設基準等(通知)での「在宅復帰機能強化加算」の記載は以下の通りです。
【基本診療料の施設基準等(通知):抜粋】
【9 療養病棟入院基本料の注10に規定する在宅復帰機能強化加算について】
次の施設基準を全て満たしていること。
(1)療養病棟入院基本料1を届け出ている保険医療機関であること。
(2)次のいずれにも適合すること。
ア:当該病棟から退院した患者(当該保険医療機関の他病棟(療養病棟入院基本料を算定していない病棟に限る。)から当該病棟に転棟した患者については、当該病棟に入院した期間が1月以上のものに限る。以下この項において同じ。)に占める在宅に退院した患者の割合が5割以上であり、その割合は、次の(イ)に掲げる数を(ロ)に掲げる数で除して算出するものであること。なお在宅に退院した患者とは、同一の保健医療機関の当該加算に係る病棟以外の病棟へ転棟した患者、他の保健医療機関へ転院した患者及び介護老人保健施設に入所する患者を除く患者をいい、退院した患者の在宅での生活が1月以上(医療区分3の患者については14日以上)継続する見込みであることを確認できた患者をいう。
- (イ)直近6月間に退院した患者(第2部「通則5」に規定する入院期間が通算される再入院患者及び死亡退院した患者を除く。)のうち、在宅に退院した患者数
- (ロ)直近6月間に退院した患者数(第2部「通則5」に規定する入院期間が通算される再入院患者及び死亡退院した患者を除き、他の保健医療機関へ転院した者等を含む。ただし、病状の急性増悪等により、他の保健医療機関(当該保険医療機関と特別の関係にあるものを除く。)での治療が必要になり転院した患者を除く。なお、当該患者の数及び各患者の症状詳記の一覧を、届出の際に添付の上提出する。)
イ:在宅に退院した患者の退院後1月以内(医療区分3の患者については14日以内)に、当該保険医療機関の職員が当該患者の居宅を訪問することにより、又は当該保険医療機関が在宅療養を担当する保健医療機関から情報提供を受けることにより、当該患者の在宅における生活が1月以上(退院時に医療区分3である場合にあっては14日以上)継続する見込みであることを確認し、記録していること。
(3)当該保険医療機関又は別の保健医療機関の病棟若しくは病室(一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)、専門病院入院基本料、救命救急入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料又は地域包括ケア病棟入院料を算定するものに限る。)から当該病棟に入院し、在宅に退院した1年間の患者数(当該保険医療機関の他病棟から当該病棟に転棟して1か月以内に退院した患者は除く。)を、当該病棟の1年間の1日平均入院患者数で除した数が100分の15以上であること。
「在宅復帰機能強化加算」の解釈
療養病棟入院基本料での「在宅復帰機能強化加算」に関する記載についての解釈をまとめていきます。
「在宅復帰機能強化加算」
療養病棟入院料1の算定病棟
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在宅復帰支援を行う十分な体制及び実績を有している
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1日につき50点を加算
(病棟単位で算定が可能)
「在宅復帰支援を行う十分な体制及び実績を有している」とは?
「在宅復帰支援を行う十分な体制及び実績を有している」とは、在宅復帰機能強化加算の施設基準をすべて満たしている状態になります。
「在宅復帰支援を行う十分な体制及び実績を有している」
・療養病棟入院料1の算定病棟
・①/②=50%以上
①:直近6月間に退院した患者のうち、在宅に退院した患者数
※在宅⇨「自宅、及び居住系介護施設等」
※在宅での生活が1月以上継続する見込み
(医療区分3の患者は14日以上)
②:直近6月間に退院した患者数
※再入院患者及び死亡退院した患者を除く
※他の保健医療機関へ転院した者等を含む
(病状の急性増悪等による転院は除く)
・退院後1月以内に、以下を確認し記録する
:在宅における生活が1月以上継続する見込みである
(退院時に医療区分3である場合にあっては14日以上)
・③/④=15%以上
③:以下から入院した患者で、1年間に在宅に退院した患者数
・一般病棟入院基本料
・特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)
・専門病院入院基本料
・救命救急入院料
・特定集中治療室管理料
・ハイケアユニット入院医療管理料
・脳卒中ケアユニット入院医療管理料
・地域包括ケア病棟入院料
※当該保険医療機関の他病棟からの転棟で1月以内に退院した患者は除く
④:直近1年間における1日平均入院患者数(小数点以下切り上げ)
※1年間の延入院患者数を1年間の日数で除したもの
「在宅復帰機能強化加算」の届出書類
九州厚生局のホームページでご確認ください。
様式10の8:在宅復帰機能強化加算の施設基準に係る届出書添付書類
