【身体的拘束最小化の基準】基本的な概要と考え方

クワホピ

「身体的拘束最小化の基準」について医科点数表の解釈での記載内容

「身体的拘束最小化の基準」については、医科点数表の解釈において以下のように記載があります。

【7 身体的拘束最小化の基準】

(1)当該保険医療機関において、患者又は他の患者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束を行ってはならないこと。

(2)(1)の身体的拘束を行う場合には、その態様及び時間、その際の患者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこと。

(3)身体的拘束とは、抑制帯等、患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限をいうこと。

(4)当該保険医療機関において、身体的拘束最小化対策に係る専任の医師及び専任の看護職員から構成される身体的拘束最小化チームが設置されていること。なお、必要に応じて、薬剤師等、入院医療に携わる多職種が参加していることが望ましい。

(5)身体的拘束最小化チームでは、以下の業務を実施すること。

ア 身体的拘束の実施状況を把握し、管理者を含む職員に定期的に周知徹底すること。

イ 身体的拘束を最小化するための指針を作成し、職員に周知し活用すること。なお、アを踏まえ、定期的に当該指針の見直しを行うこと。また、当該指針には、鎮静を目的とした薬物の適正使用や(3)に規定する身体的拘束以外の患者の行動を制限する行為の最小化に係る内容を盛り込むことが望ましい。

ウ 入院患者に係わる職員を対象として、身体的拘束の最小化に関する研修を定期的に行うこと。

(6)(1)から(5)までの規定に関わらず、精神科病院(精神科病院以外の病院で精神病室が設けられているものを含む。)における身体的拘束の取扱いについては、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)の規定による。

(7)令和6年3月31日において現に入院基本料又は特定入院料に係る届出を行っている病棟又は病床については、令和7年5月31日までの間に限り、(1)から(5)までの基準を満たしているものとする。

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p84

(入院診療計画、院内感染防止対策、医療安全管理体制、褥瘡対策、栄養管理体制、意思決定支援及び身体的拘束最小化の基準並びに栄養管理体制未整備減算の基準「通則7」、「通則8」)

◇ 基本診療料の施設基準等

第四 入院診療計画、院内感染防止対策、医療安全管理体制、褥瘡対策、栄養管理体制、意思決定支援及び身体的拘束最小化の基準

------以下、抜粋------

八 身体的拘束最小化の基準

 身体的拘束の最小化を行うにつき十分な体制が整備されていること。

(平20.3.5 厚生労働省告示第62号)

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p85

「身体的拘束最小化の基準」についての解釈

医科点数表の解釈における「身体的拘束最小化の基準」の記載についてまとめていきます。


「身体的拘束最小化の基準」

◆身体的拘束について
 ・患者または他の患者等の生命・身体を保護する緊急やむを得ない場合のみ行う
 ・身体的拘束をする場合には以下の記録をする
   態様
   時間
   患者の心身の状況
   緊急やむを得ない理由

◆身体的拘束とは?
 ・抑制帯等、患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限のこと

◆身体的拘束最小化チームの設置
 ・専任の医師
 ・専任の看護職員
 ※必要に応じて、薬剤師等、入院医療に携わる多職種

◆身体的拘束最小化チームの業務
 ・身体的拘束の実施状況を把握と定期的な周知
 ・身体的拘束を最小化するための指針の作成
   :鎮静目的の薬物の適正使用についての内容
   :身体的拘束をしない患者の行動制限の最小化についての内容
   ※定期的な指針の見直し
 ・定期的な研修の実施

※上記に関わらず、精神科病院(精神科病院以外の病院で精神病室が設けられているものを含む。)における身体的拘束の取扱いについては、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)の規定による

※令和6年3月31日において、入院基本料又は特定入院料の届出を行っている病棟又は病床は、令和7年5月31日までの期間、上記の基準を満たしているものとする

疑義解釈資料(令和6年12月18日付事務連絡)

問1

医科点数表第1章第2部入院料等の通則第7号に規定する身体的拘束最小化の基準について、「(6) (1)から(5)までの規定にかかわらず、精神科病院(精神科病院以外の病院で精神病室が設けられているものを含む)における身体的拘束の取扱いについては、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定による」とされているが、一般病床と精神病床の両方を有する病院では、身体的拘束最小化チームの設置も含め、(1)から(5)までの基準を満たさない場合、通則第9号に規定する減算の対象となるのか。

(答)

そのとおり。

一般病床と精神病床の両方を有する病院において、一般病床に入院する患者の身体的拘束は、医療機関として(1)から(5)までの基準をすべて満たした上で取扱う必要があり、精神病床に入院する患者の身体的拘束は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定に基づいて取扱うこととなる。

こうした規定を満たさず、通則第9号に規定する減算の対象となった医療機関では、一般病床及び精神病床で算定される入院料等を含む当該医療機関のすべての入院料等が減算となることに留意すること。

なお、精神病床のみを有する精神科病院では、入院するすべての患者の身体的拘束を、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定に基づいて取扱う限り、通則第9号に規定する減算の対象とはならない。

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