医療療養病床における『急性期患者支援療養病床初期加算』と『在宅患者支援療養病床初期加算』
医療療養病床では、その病棟への入院元が一般病棟や在宅等であった場合には、加算を算定できる場合があります。
今回は、「急性期患者支援療養病床初期加算」と「在宅患者支援療養病床初期加算」について解説していきます。
- 療養病床の施設基準について学ぶ
- 「急性期患者支援療養病床初期加算」を理解する
- 「在宅患者支援療養病床初期加算」を理解する
急性期患者支援療養病床初期加算
医療療養病床では、入院される患者様の入院元の場所によって加算を算定することができます。
当該病棟に入院している患者のうち、急性期医療を担う他の保険医療機関の一般病棟から転院した患者及び当該保険医療機関(急性期医療を担う保険医療機関に限る。)の一般病棟から転棟した患者については、転院又は転棟した日から起算して14日を限度として、急性期患者支援療養病床初期加算として、1日につき300点を所定点数に加算する。
急性期患者支援療養病床初期加算
300点(14日を限度)
急性期患者支援療養病床初期加算は、急性期医療の後方病床を確保することにより、急性期医療を支えることを目的として、療養病棟が有する機能を評価したものであり、転院、入院又は転棟した日から起算して14日を限度に算定できます。
ただ、特別入院基本料等を算定する場合には、この加算は算定できません。
「急性期患者支援療養病床初期加算」の概要
急性期患者支援療養病床初期加算は、急性期医療を担う病院の一般病棟に入院し、急性期治療を終えて一定程度状態が安定した患者を、速やかに療養病棟受け入れることにより、急性期医療を担う病院を後方支援することを目的にしています。
- 急性期一般入院基本料
- 7対1入院基本料
- 10対1入院基本料
(特定機能病院入院基本料(一般病棟))
(専門病院入院基本料) - 地域一般入院基本料
(A205救急医療管理加算の届出必要) - 13対1入院基本料
(専門病院入院基本料に限る)
(A205救急医療管理加算の届出必要)
一般病棟と療養病棟が同一の病院に併存する場合で、当該一般病棟から療養病棟に転倒した患者については、1回の転棟に限り算定できます。
在宅患者支援療養病床初期加算
医療療養病床では、入院される患者様の入院元の場所によって加算を算定することができます。
当該病棟に入院している患者のうち、介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム等又は自宅から入院した患者については、治療方針に関する患者又はその家族等の意思決定に対する支援を行った場合に、入院した日から起算して14日を限度として、在宅患者支援療養病床初期加算として、1日につき350点を所定点数に加算する。
在宅患者支援療養病床初期加算
350点(14日を限度)
在宅患者支援療養病床初期加算は、在宅患者や介護保険施設入所者等の状態が軽度悪化した際に入院医療を提供できる病床を確保することにより、在宅での療養を支えることを目的として、療養病棟が有する機能を評価したものであり、転院、入院又は転棟した日から起算して14日を限度に算定できます。
ただ、特別入院基本料等を算定する場合には、この加算は算定できません。
「在宅患者支援療養病床初期加算」の概要
在宅患者支援療養病床初期加算は、
- 介護保険施設、居住系施設等又は自宅で療養を継続している患者が、軽微な発熱や下痢等の症状を来したために入院医療を要する状態になった際に、療養病棟が速やかに当該患者を受け入れる体制を有していること
- 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、入院時に治療方針に関する患者又はその家族等の意思決定に対する支援を行うこと
の2つにより、自宅や介護保険施設等における療養の継続を後方支援することを目的にしています。
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 特別養護老人ホーム
- 軽費老人ホーム
- 有料老人ホーム など
加算を算定する療養病棟を有する病院に介護保険施設等が併設されている場合は、併設された介護保険施設等から受け入れた患者については算定できません。
「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた支援
在宅患者支援療養病床初期加算では、算定基準に『厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、入院時に治療方針に関する患者、またはその家族等の意思決定に対する支援を行うこと』とあります。
この算定基準については、具体的にどのようなことを行えばよいのかが医科点数表の解釈に記載されています。
人生の最終段階における医療・ケアに関する当該患者の意思決定について、当該患者の療養生活を支援していた関係機関(介護保険施設や在宅療養支援を行う医療機関等)と連携し、情報の共有を測ること。
患者本人の意思決定やその支援に関する情報が得られない場合については、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、患者本人や家族等のほか、必要に応じて関係機関の関係者とともに、話し合いを繰り返し行う等の支援を行うこと。
ただし、ここでいう支援は、画一的に行うものではなく、患者の病状や社会的側面を考慮しながら支援の実施の必要性について個別に評価した上で行うことをいう。
人生の最終段階の決定プロセスに関するガイドライン
「人生の最終段階の決定プロセスに関するガイドライン」は、平成18年3月に富山県射水市における人工呼吸器取り外し事件が報道されたことを契機として策定されたものです。
人生の最終段階における医療の在り方に関し
- 医師等の医療従事者から適切な情報提供と説明がなされ、それに基づいて患者が医療従事者と話し合いを行った上で、患者本人による決定を基本とすること
- 人生の最終段階における医療及びケアの方針を決定する際には、医師の独断ではなく、医療・ケアチームによって慎重に判断すること
などが盛り込まれています。
詳しくは、厚生労働省が作成したガイドラインを参照してください。