免疫グロブリン(IgG・IgA・IgM・IgD・IgE)|検査の基準値
IgG : 870~1700(mg/dL)
IgA : 110~410(mg/dL)
IgM : 男 31~200 女 52~270(mg/dL)
IgD : 13.0(mg/dL)以下
IgE : 250(IU/mL)以下
免疫グロブリンの定義
血清中には、微生物から身体を守る働き(液性免疫能)をする免疫グロブリンが存在し、IgG・IgA・IgM・IgD・IgEの5種類の免疫グロブリンクラスが存在します。
免疫グロブリン検査は、スクリーニング的検査の蛋白分画で血漿蛋白異常が疑われ、免疫グロブリンの質的・量的異常が考えられる場合に進める検査になります。
個々の免疫グロブリンの測定の意義は以下のとおりになります。
免疫グロブリン | 測定の意義 |
---|---|
IgG・IgA・IgM | 通常同時に測定 感染症、腫瘍、自己免疫疾患などのモニタリングとして測定することが多い |
IgD | IgD型骨髄腫の診断目的に測定 |
IgE | アレルギー疾患(Ⅰ型アレルギー)や寄生虫疾患が疑わるとき、および経過観察に測定 |
免疫グロブリンの異常とその原因
免疫グロブリン(IgG・IgA・IgM・IgD・IgE)の異常とその原因は以下のとおりです。
高値 多クローン性の増加 | 高値 単クローン性の増加 | 低値 | |
---|---|---|---|
IgG | 慢性肝炎 肝硬変 自己免疫性疾患 炎症 悪性腫瘍 慢性感染症 | IgG型多発性骨髄腫 本態性M蛋白血症 | 原発性免疫不全症 低γグロブリン血症 Bruton型無γグロブリン血症 ネフローゼ症候群 多発性骨髄腫(IgG以外) ATL AIDS |
IgA | 慢性肝炎 肝硬変 自己免疫性疾患 IgA腎症 悪性腫瘍 慢性感染症 | IgA型多発性骨髄腫 本態性M蛋白血症(IgA型) | 原発性免疫不全症 IgA単独欠損症 Bruton型無γグロブリン血症 ネフローゼ症候群 多発性骨髄腫(IgA以外) 悪性リンパ腫 |
IgM | 急性肝炎 感染症初期 自己免疫疾患 | 原発性マクログロブリン血症 本態性M蛋白血症(IgM型) | 原発性免疫不全症 IgM単独欠損症 Bruton型無γグロブリン血症 |
IgD | 結核 ハンセン病 | IgD型多発性骨髄腫 | 多発性骨髄腫(IgD型以外) |
IgE | 気管支喘息 アトピー性皮膚炎 アレルギー性鼻炎 寄生虫疾患 | IgE型多発性骨髄腫 肝疾患 花粉症 ホジキンリンパ腫 | 多発性骨髄腫(IgE型以外) サルコイドーシス 原発性免疫不全症候群 続発性免疫不全症候群 |
IgGの異常とその原因
IgG: 870~1,700(mg/dL)
IgGが高値の場合
IgGが高値の場合には、以下のことが考えられます。
〈多クローン性の増加〉
- 慢性肝炎
- 肝硬変
- 自己免疫疾患
- 炎症
- 悪性腫瘍
- 慢性感染症
〈単クローン性の増加〉
- IgG型多発性骨髄腫
- 本態性M蛋白血症
IgGが低値の場合
IgGが低値の場合には、以下のことが考えられます。
- 原発性免疫不全症
- 低γグロブリン血症
- Bruton型無γグロブリン血症
- ネフローゼ症候群
- 多発性骨髄腫(IgG以外)
- ATL
- AIDS
IgAの異常とその原因
IgA: 110~410(mg/dL)
IgAが高値の場合
IgAが高値の場合には、以下のことが考えられます。
〈多クローン性の増加〉
- 慢性肝炎
- 肝硬変
- 自己免疫疾患
- IgA腎症
- 悪性腫瘍
- 慢性感染症
〈単クローン性の増加〉
- IgA型多発性骨髄腫
- 本態性M蛋白血症(IgA型)
IgAが低値の場合
IgAが低値の場合には、以下のことが考えられます。
- 原発性免疫不全症
- IgA単独欠損症
- Bruton型無γグロブリン血症
- ネフローゼ症候群
- 多発性骨髄腫(IgA以外)
- 悪性リンパ腫
IgMの異常とその原因
男:31~200(mg/dL)
女:52~270(mg/dL)
IgMが高値の場合
IgMが高値の場合には、以下のことが考えられます。
〈多クローン性の増加〉
- 急性肝炎
- 感染症初期
- 自己免疫疾患
〈単クローン性の増加〉
- 原発性マクログロブリン血症
- 本態性M蛋白血症(IgM型)
IgMが低値の場合
IgMが低値の場合には、以下のことが考えられます。
- 原発性免疫不全症
- IgM欠損症
- Bruton型無γグロブリン血症
IgDの異常とその原因
IgD: 13.0(mg/dL)以下
IgDが高値の場合
IgDが高値の場合には、以下のことが考えられます。
〈多クローン性の増加〉
- 結核
- ハンセン病
〈単クローン性の増加〉
- IgD型多発性骨髄腫
IgDが低値の場合
IgDが低値の場合には、以下のことが考えられます。
- 多発性骨髄腫(IgD以外)
IgEの異常とその原因
IgE: 250(IU/mL)以下
IgEが高値の場合
IgEが高値の場合には、以下のことが考えられます。
〈多クローン性の増加〉
- 気管支喘息
- アトピー性皮膚炎
- アレルギー性鼻炎
- 寄生虫疾患
〈単クローン性の増加〉
- IgE型多発性骨髄腫
- 肝疾患
- 花粉症
- ホジキンリンパ腫
IgEが低値の場合
IgEが低値の場合には、以下のことが考えられます。
- 多発性骨髄腫(IgE以外)
- サルコイドーシス
- 原発性免疫不全症候群
- 続発性免疫不全症候群