施設基準

療養病棟入院基本料における「経腸栄養管理加算」の算定

クワホピ

医科点数表の解釈での「経腸栄養管理加算」の記載内容

療養病棟入院基本料における経腸栄養管理加算については、医科点数表の解釈において以下のように記載があります。

【A101 療養病棟入院基本料 注11】

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が、療養病棟入院基本料を算定する患者について、経腸栄養を開始した場合、経腸栄養管理加算として、入院中1回に限り、経腸栄養を開始した日から起算して7日を限度として、1日につき300点を所定点数に加算する。この場合において、区分番号A233-2に掲げる栄養サポートチーム加算、区分番号B001の10に掲げる入院栄養食事指導料又は区分番号B001の11に掲げる集団栄養食事指導料は別に算定できない。

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p95

・A233-2 栄養サポートチーム加算[医科点数表の解釈(令和6年6月版)p150]

・B001の10 入院栄養食事指導料[医科点数表の解釈(令和6年6月版)p288]
・B001の11 集団栄養食事指導料[医科点数表の解釈(令和6年6月版)p289]

ここで、黄色下線を引いた「厚生労働大臣が定める施設基準」については、以下のように記載があります。

厚生労働大臣が定める施設基準及び厚生労働大臣が定める区分「注1」「注10」「注11」「注12」「注13」】

「診療方針に関する法令編」に掲載の「基本診療料の施設基準等」(平成20年3月厚生労働省告示第62号)の第五の三の(1)、(2)、(6)、(7)、(8)、(9)を参照。

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p95

経腸栄養管理加算についての記載は、(7)がそれにあたります。

【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】

(1)療養病棟入院基本料の注1本文に規定する入院料の施設基準

(2)療養病棟入院基本料の注1本文に規定する厚生労働大臣が定める区分

(3)療養病棟入院基本料に含まれる画像診断及び処置の費用並びに含まれない除外薬剤・注射薬の費用

(4)療養病棟入院基本料に含まれるリハビリテーションの費用

(5)療養病棟入院基本料の注4に規定する厚生労働大臣が定める状態

(6)在宅復帰機能強化加算の施設基準

(7)経腸栄養管理加算の施設基準

(8)夜間看護加算の施設基準

(9)看護補助体制充実加算の施設基準

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p1249

【「基本診療料の施設基準等」の第五の三 施設基準等:抜粋】

【(7)経腸栄養管理加算の施設基準】

適切な経腸栄養の管理と支援を行うにつき必要な体制が整備されていること。

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p1250

「A101 療養病棟入院基本料 注11」に対する右欄の記載

「A101 療養病棟入院基本料 注11」に対する右欄の記載は以下の通りです。

【療養病床入院基本料について:抜粋】

(17) 「注 11」に規定する経腸栄養管理加算は、経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養(以下この項において「経腸栄養」という。)を開始することで栄養状態の維持又は改善が見込まれる患者に対して新たに経腸栄養を開始する場合に、日本臨床栄養代謝学会の「静脈経腸栄養ガイドライン」等の内容を踏まえた説明を本人又はその家族等に実施した上で、適切な経腸栄養の管理と支援を行うことを評価したものであり、次のアからウまでを実施した場合に算定できる。

ア 医師より本人又はその家族等に対し、「静脈経腸栄養ガイドライン」等を踏まえて経腸栄養と中心静脈栄養の適応やリスク等について説明を行うこと。なお、説明した内容の要点について診療録に記載すること。

イ 経腸栄養の開始に当たっては、開始時期や栄養管理の内容について、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士等によるカンファレンスを実施すること。なお、経腸栄養の開始後も定期的に多職種によるカンファレンスが実施されることが望ましい。

ウ 管理栄養士は、「静脈経腸栄養ガイドライン」等を参考に、医師、看護師、薬剤師等と連携し、下記の栄養管理を実施すること。ただし、1日当たりの算定患者数は、管理栄養士1名につき、15人以内とする。

  • (イ) 栄養アセスメント
  • (ロ) 経腸栄養の管理に係る計画の作成及び計画に基づく栄養管理の実施
  • (ハ) 経腸栄養開始後は、1日に3回以上のモニタリングを実施し、その結果を踏まえ、必要に応じた計画の見直し
医科点数表の解釈(令和6年6月版)p91

【療養病床入院基本料について:抜粋】

(18) 「注 11」に規定する経腸栄養管理加算は経腸栄養を開始した日から7日を限度に、経腸栄養を実施している期間に限り算定できる。なお、算定可能な日数を超えた場合においても、多職種による栄養管理を継続的に行うことが望ましい。

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p91

【療養病床入院基本料について:抜粋】

(19) 「注 11」に規定する経腸栄養管理加算の算定対象となる患者は、次のア又はイに該当し、医師が適切な経腸栄養の管理と支援が必要と判断した者である。経腸栄養を行っている場合は、経口栄養又は中心静脈栄養を併用する場合においても算定できる。ただし、入棟前の1か月間に経腸栄養が実施されていた患者については算定できない。

ア 長期間、中心静脈栄養による栄養管理を実施している患者

イ 経口摂取が不可能となった又は経口摂取のみでは必要な栄養補給ができなくなった患者

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p91

「経腸栄養管理加算」に関する事務連絡

「経腸栄養管理加算」に関する事務連絡の記載は以下の通りです。

【療養病床入院基本料に関する事務連絡:抜粋】

問 A101療養病棟入院基本料の「注11」に規定する経腸栄養管理加算について、「「静脈経腸栄養ガイドライン」等を踏まえて経腸栄養と中心静脈栄養の適応やリスク等について説明を行うこと。」(以下「「経腸栄養ガイドライン」等を踏まえた説明」という。)とされているが、経腸栄養の開始後に本人又はその家族等に説明を行った場合であっても算定できるか。

答 説明を行った日から算定できる。ただし、この場合であっても、算定期間は経腸栄養を開始した日から7日を限度とする。

(令6.3.28 その1・問28)

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p95

【療養病床入院基本料に関する事務連絡:抜粋】

問 「静脈経腸栄養ガイドライン」等を踏まえた説明について、具体的な内容如何。

答 以下の内容について説明すること。

  • 消化管が機能している場合は、中心静脈栄養ではなく、経腸栄養を選択することが基本であるとされていること
  • 中心静脈栄養によりカテーテル関連血流感染症が合併すること等の経腸栄養と中心静脈栄養の適応やリスク等

(令6.3.28 その1・問29)

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p95

【療養病床入院基本料に関する事務連絡:抜粋】

問 経腸栄養管理加算について、「入棟前の1ヵ月間に経腸栄養が実施されていた患者については算定できない。」とされているが、他の保険医療機関又は在宅で経腸栄養が実施されていた場合について、どのように考えればよいか。

答 他の保険医療機関又は在宅で経腸栄養が実施されていた場合であっても算定できない。

(令6.3.28 その1・問30)

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p95

【療養病床入院基本料に関する事務連絡:抜粋】

問 経腸栄養管理加算について、「経腸栄養管理加算は経腸栄養を開始した日から7日を限度に、経腸栄養を実施している期間に限り算定できる。」とされているが、経腸栄養を開始した後に中止し、その後再開した場合について、どのように考えればよいか。

答 経腸栄養を開始して7日以内に中止・再開した場合であっても、経腸栄養を開始した日から7日間に限り算定できる。

(令6.3.28 その1・問31)

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p95

【療養病床入院基本料に関する事務連絡:抜粋】

問 経腸栄養管理加算について、白湯や薬剤のみを経鼻移管や胃瘻等から投与している場合は算定可能か。

答 不可。

(令6.3.28 その1・問32)

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p95

【療養病床入院基本料に関する事務連絡:抜粋】

問 経腸栄養管理加算について、「入院中1回に限り、経腸栄養を開始した日から起算して7日を限度として、1日につき300点を所定点数に加算する。」こととされているが、経腸栄養を開始した日から7日が経過した後に転棟あるいは退院し、再度入院した場合、入院期間が痛刺される場合であったも再度算定できるのか。

答 入院期間が通算される場合は算定できない。

(令6.3.28 その1・問33)

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p95

【療養病床入院基本料に関する事務連絡:抜粋】

問 経腸栄養管理加算について、「入院中1回に限り、経腸栄養を開始した日から起算して7日を限度として、1日につき300点を所定点数に加算する。」こととされているが、当該加算を算定した後に退院し、経腸栄誉を実施せずに1ヵ月以上経過した後に入院となり、入院期間が前回入院から通算されない場合について、当該加算は再度算定可能か。

答 可能。

(令6.3.28 その1・問34)

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p95

基本診療料の施設基準等(通知)

基本診療料の施設基準等(通知)での「経腸栄養管理加算」の記載は以下の通りです。

【基本診療料の施設基準等(通知):抜粋】

【10 療養病棟入院基本料の注11に規定する経腸栄養管理加算の施設基準】

(1)「A233-2」の栄養サポートチーム加算を届け出ていること又は療養病棟における経腸栄養管理を担当する専任の管理栄養士を1名以上配置していること。

(2)内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影を実施する体制を有していること。なお、当該検査等については、耳鼻咽喉科又はリハビリテーション料その他必要な診療科を標榜する他の保険医療機関との協力により確保することでも差し支えない。

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p1319

「経腸栄養管理加算」の解釈

療養病棟入院基本料での「経腸栄養管理加算」に関する記載についての解釈をまとめていきます。


「経腸栄養管理加算」

①、②の施設基準を満たすこと

 「①」以下のいずれかを満たしていること
  ・A233-2 栄養サポートチーム加算の届出
  ・経腸栄養管理を担当する専任の管理栄養士を1名以上配置

 「②」内視鏡下嚥下機能検査、または嚥下造影を実施する体制を有する
  ※他の保険医療機関との協力による確保でも差し支えない

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適切な経腸栄養の管理と支援の実施

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1日につき300点を加算
(経腸栄養の開始日から起算して7日を限度)

※以下は、同時算定不可
 ・A233-2栄養サポートチーム加算
 ・B001の10入院栄養食事指導料
 ・B001の11集団栄養食事指導料

・A233-2 栄養サポートチーム加算[医科点数表の解釈(令和6年6月版)p150]

・B001の10 入院栄養食事指導料[医科点数表の解釈(令和6年6月版)p288]
・B001の11 集団栄養食事指導料[医科点数表の解釈(令和6年6月版)p289]

「適切な経腸栄養の管理と支援の実施」とは?

経腸栄養管理加算の算定には、施設基準を満たすことに加えて、以下のことを実施する必要があります。

  1. 医師から経腸栄養と中心静脈栄養の適応やリスク等について説明する。説明した内容の要点について診療録に記載する。
  2. 開始時期や栄養管理の内容について、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士等によるカンファレンスを実施する。
  3. 管理栄養士は、医師、看護師、薬剤師等と連携し、下記の栄養管理を実施する。1日当たりの算定患者数は、管理栄養士1名につき、15人以内とする。
    • 栄養アセスメント
    • 経腸栄養の管理に係る計画の作成及び計画に基づく栄養管理の実施
    • 経腸栄養開始後は、1日に3回以上のモニタリングの実施、必要に応じて計画の見直し

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