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【看護配置数の計算】「○○:1」の考え方

クワホピ

看護配置数とは?

看護配置数とは、「厚生局に届出をした病棟区分ごとに、入院している患者数に対して必要な看護職員の数」を示したものです。

病棟区分は医科点数表の解釈に定められていますが、その種別ごとの医療必要度に合わせて看護配置数が定められています。

例えば、急性期病床では医療必要度の高い患者様が多く入院するので、看護配置数は多くなるように設定されています。

それとは逆に、慢性期病床では急性期病床に比べて長期療養を目的とした患者様が多く入院するので、看護配置数は少ない設定にされています。

この看護配置数は、「患者数に対して必要な看護職員数」になっており、「○○:1」または「○○対1」と表記されます。

看護配置数を表す「○○:1」の考え方

看護配置には、病棟区分別に「7:1」「10:1」「13:1」「15:1」「18:1」「20:1」などの種類があり、「患者様の人数:看護職員の人数」を表しています。

○○:1 = 患者様の人数:看護職員の人数

その病棟区分において、患者様の人数に対してどれだけ看護職員の人数が必要かということです。

「7:1」の看護配置では7人の患者様に対し1人以上の看護職員を配置する必要があり、「20:1」の看護配置では20人の患者様に対し1人以上の看護職員を配置する必要があります。

「7:1」に近づくほど手厚い看護になる

下の表を見て分かるように、看護配置では「20:1」から「7:1」になるほど患者様に対しての必要な看護師数が増えていきます。

○○:1看護職員の配置
7:17人の患者に対し1人以上の看護師の配置
10:110人の患者に対し1人以上の看護師の配置
13:113人の患者に対し1人以上の看護師の配置
15:115人の患者に対し1人以上の看護師の配置
18:118人の患者に対し1人以上の看護師の配置
20:120人の患者に対し1人以上の看護師の配置

医療機関における病棟は、急性期病棟、回復期病棟、療養病棟などの目的によって分類されていますが、その目的に合わせた医療を行えるように看護配置基準が適切に定められています。

急性期病棟などでは患者様の医療必要度が高くなるため、看護職員も多く配置するように定められています。

それとは逆に、療養病棟など医療必要度が低く、長期療養を目的としている場合においては、看護職員も少なくてもよい配置になるように定められています。

看護配置基準を満たせないとどうなるのか?

医科点数表の解釈には、病床区分ごとに必要な看護配置数が定められています。

そのため、この定められた看護配置基準を満たしていなければ、届け出た入院料を取り下げる必要があり、もちろん取下げ後はその入院料を算定することはできません。

あくまでも取り下げの届出は自己申告なのですが、仮に、ばれないだろうと看護配置基準を満たしていない状態で運営を続けても、いつかはばれてしまうことを理解しておきましょう。

  • 「うちの病院は少ない人数でも看護体制に問題はない」
  • 「看護職員が少なくても業務はまわるから少ない人数でも構わない」
  • 「書類上でごまかしておけば、ばれることはないから大丈夫」

経営者が上記のような身勝手な考え方で看護配置基準を守らず、病院運営をしていると最終的に大きな報いを受けることになります。

厚生局は、各医療機関において適切に施設基準を守った運営を行えるように、集団指導や個別指導などを定期的に行っています。また、年に一度提出を求められる定例報告によって、現状の確認を行っています。

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看護配置数の計算の考え方

看護配置数の計算を療養病棟の施設基準である「療養病棟入院基本料」を例に挙げて説明していきます。

療養病棟入院基本料の必要看護配置数は「20:1」となっているので、患者様20人に対し看護職員を1人以上配置する必要があります。

看護配置数を計算するときの注意点

看護配置数の計算では”患者様と看護職員の病院での滞在時間が異なる”ことを考慮する必要があります。

仮に、60床の医療療養病床が満床であったときの必要看護配置数がどうなるかを考えてみます。

20:1なので、60床 ÷ 20 = 3人???

上記の計算は大間違いです。

患者様は病院に入院している状態なので、朝・昼・夜、つまり一日中ずっと病院にいますが、看護職員は勤務時間が終われば帰宅してしまいます。

そのため、「60床 ÷ 20 = 3人」の計算が正しいとなると、看護職員が24時間住み込みで働き続けなければならないことになってしまいます。

上記のことを踏まえ、看護配置数の計算では”看護職員が1日に何人必要なのか?”ということも考えなければいけないことになります。

1日(24時間)に必要な看護職員の数は?

入院患者様は、朝・昼・夜の24時間、病院で過ごされています。

そのため、1日(24時間)において、患者様に対しての医療を行えるような看護職員数を考えなければいけません。

ここで考えないといけないことは看護職員が1日(24時間)の間に何人必要になるかということです。

この点については、医科点数表の解釈の中で以下のように記載があります。

【第2 病院の入院基本料等に関する施設基準:抜粋】

(2)看護要員の数については、次の点に留意する。

イ 当該届出病棟に配置されている看護要員の数は、1勤務帯8時間で1日3勤務帯を標準として、月平均1日当たりの要件を満たしていること。なお、育児又は家族介護に関する休業等が確保されるよう配慮を行うこと。

医科点数表の解釈(令和6年6月版)p1313

「1勤務帯8時間で1日3勤務帯を標準」となっているので、看護職員の勤務時間は最大で1日8時間勤務、1日は24時間なので以下の計算式が成り立ちます。

24時間 ÷ 8時間(看護職員の1日の勤務時間) = 3人

この計算式から、1日24時間、常に病棟に看護職員が滞在している状態をつくるには少なくとも3人の看護職員が必要になるということが分かります。

1日最低3人の看護師が必要なことを考慮すると…

1日最低3人の看護師が必要なことを考慮すると、以下のような看護配置数の計算式が出来上がります。

( 入院患者数 ÷ 看護基準 ) × 3 = 必要看護配置数

入院患者様に対して○○人の看護配置(看護基準)を行い、それを24時間体制(1日に3人必要)で行うということです。

上記を踏まえた上で、再度、療養病棟入院基本料を算定する60床の医療療養病床が満床であったときの必要看護配置数を計算してみます。

( 60 ÷ 20 ) × 3 = 9人

患者数60人で看護基準が20:1の場合には、最低9人の看護職員が必要ということが分かります。

病床数が異なる場合の必要看護配置数を計算すると以下の表のようになります。

病床数(20:1)必要看護配置数
20床3人
30床5人(≒4.5人)
40床6人
50床8人(≒7.5人)
60床9人

端数があるときには切り上げになります。

入院患者数が40人であったときの必要看護配置数の違いは?

仮に、入院患者数が40人であった場合、看護配置数ごとで必要看護配置数を計算すると以下のようになります。

○○:1計算式「( 入院患者数 ÷ 看護基準 ) × 3」
※入院患者数40人のとき
必要看護配置数
7:1( 40 ÷ 7 ) × 3 ≒ 17.118
10:1( 40 ÷ 10 ) × 3 = 1212
13:1( 40 ÷ 13 ) × 3 ≒ 9.210
15:1( 40 ÷ 15 ) × 3 ≒ 7.98
18:1( 40 ÷ 18 ) × 3 ≒ 6.67
20:1( 40 ÷ 20 ) × 3 = 66

端数があるときには切り上げになります。

「20:1」から「7:1」になるほど患者様に対しての必要な看護師数が増えていきます。

○○:1看護職員の配置
7:17人の患者に対し1人以上の看護師の配置
10:110人の患者に対し1人以上の看護師の配置
13:113人の患者に対し1人以上の看護師の配置
15:115人の患者に対し1人以上の看護師の配置
18:118人の患者に対し1人以上の看護師の配置
20:120人の患者に対し1人以上の看護師の配置

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