区分の概要

医療区分・ADL区分等に係る評価票に必要な「添付」と「交付」

クワホピ

医療療養病床では入院されている患者様の状態を『医療区分・ADL区分等に係る評価票』を用いて評価を行います。

この評価票は、評価をするためだけに使用するだけではなく、その評価の結果によっては「診療録へ添付」「患者様へ交付」が必要になります。

この記事では、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に必要な”添付”と”交付”について解説していきます。

この記事で学ぶこと
  • 「医科点数表の解釈」における医療区分・ADL区分等に係る評価票の”添付”と”交付”の記載事項
  • 評価票の「診療録へ添付」・「患者様へ交付」
  • 評価票を「添付・交付」する理由

「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に必要な”添付”と”交付”についてしっかり理解しましょう。

「医科点数表の解釈」への記載とその要約

医療療養病床で用いられる「医療区分・ADL区分等に係る評価票」は、様式が医科点数表の解釈に記載されており、この様式かこれに準ずるものを使用することになっています。

また、評価票を使用するときにはその月の1日から31日の1ヵ月単位で記入を行います。

そして、その月が終了すると必要に応じて「診療録への添付」「患者様への交付」を行う必要があります。

「診療録への添付」と「患者様への交付」については、医科点数表の解釈に以下のように記載されています。

(3)「注1」の入院料のうち、入院料Aから入院料Fまでのいずれかの算定に当たっては、定期的(少なくとも月に1回)に患者又はその家族に対して、当該患者の病状や治療内容等の入院療養の状況及び各区分への該当状況について、「別紙様式2」又はこれに準ずる様式により作成した書面又はその写しを交付のうえ十分な説明を行うとともに診療録に添付する。

また、やむを得ない理由により説明を行うことが困難な場合であっても、患者又はその家族の求めに応じ、当該書面又はその写しを交付するとともに診療録に添付する。

なお、患者又はその家族の説明に当たり、特に悪性腫瘍等の患者に対しては、患者本人の治療方針に関する理解状況を踏まえ、療養上著しく不適切なことが生じないよう配慮する。

『医科点数表の解釈(令和2年4月版)』 より

医科点数表の解釈内にある「赤文字部分」の説明

医科点数表の解釈の文章の中の赤文字部分について説明します。

「注1」の入院料のうち、入院料Aから入院料Fまで

「注1」の入院料とは”療養病棟入院基本料”のことです。

療養病棟入院基本料は、医療区分とADL区分によって入院基本料A~Iの9段階に分類され、A~Fまでの入院基本料は下の表の赤文字の部分になります。

医療区分1
医療区分2
医療区分3
ADL区分3 ⇨入院基本料G
医療区分1
ADL区分3
入院基本料D
医療区分2
ADL区分3
入院基本料A
医療区分3
ADL区分3
ADL区分2 ⇨入院基本料H
医療区分1
ADL区分2
入院基本料E
医療区分2
ADL区分2
入院基本料B
医療区分3
ADL区分2
ADL区分1 ⇨入院基本料I
医療区分1
ADL区分1
入院基本料F
医療区分2
ADL区分1
入院基本料C
医療区分3
ADL区分1

入院基本料A~Fは、医療区分2と医療区分3の状態であり、入院患者の中で医療必要度の高い患者のことになります。

ただ、患者様の状態は日々変化しそれ合わせて医療区分も変化します。

そのため、実際には入院基本料に関係なく療養病床に入院されている患者様に対しては、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」を用いて説明し”添付・交付”を行うことが多いです。

合わせて読みたい
療養病棟入院基本料(R6.5.31まで)
療養病棟入院基本料(R6.5.31まで)

「別紙様式2」又はこれに準ずる様式

「別紙様式2」とは”医療区分・ADL区分等に係る評価票”のことです。

そのため、「別紙様式2」又はこれに準ずる様式とは

  • 「医療区分・ADL区分等に係る評価票」
  • 「医療区分・ADL区分等に係る評価票」の内容にのっとった様式

ということになります。

”準ずる様式”のものは、レセコンや電子カルテ内にある書式、病院独自に作成されてものがそれにあたります。

「医科点数表の解釈」の要約

医科点数表の解釈に記載されている上記の文章を要約すると、下に記載したような感じになります。

療養病棟基本料の入院基本料の中で、入院基本料料Aから入院基本料Fまでの算定を行った患者様においては、少なくとも月に1回、患者様又はその家族に、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」か、この評価票と同じ内容の用紙を使って現在の病状を説明し、その用紙の写しをお渡し(交付)し、診療録へ添付する。

もう少し分かりやすくなるように箇条書きにしてみます。

  • 入院基本料がA~Fの患者様に対して
  • 「医療区分・ADL区分等に係る評価票」を用いて
  • 月1回は患者様の状態を説明する
  • その際、説明を行った評価票の写しは「診療録へ添付・患者様に交付」する

評価票を「添付・交付」する理由

入院基本料A~Fまでの患者様(医療区分2・医療区分3)については、医療区分・ADL区分等に係る評価票を毎月診療録に添付し、患者様に交付しなくてはいけません。

つまり、評価したものを記録に残し、どのように評価したのかを本人や家族に説明しないといけないということになります。

医療療養病床では、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」の評価によって入院基本料が決定します。

そのため、あえて評価の程度を病状が重い状態につけていれば、それだけ入院基本料は高くなり病院の収益も増加することになります。

このようなことを「添付・交付」によって防ぐことができます。

悪質でなくても、正確な評価をしていない場合には、患者様やその家族から不信に思われてしまうので、病棟での医療区分・ADL区分の評価は重要なものになります。

しっかりとした知識を持って、「医療区分・ADL区分に係る評価票」の記入を行うことがとても大切ということです。

医療区分・ADL区分等に係る評価票に必要な「添付」と「交付」|まとめ

医療療養病床では「医療区分・ADL区分等に係る評価票」を用いて患者様の医療必要度・介護必要度の評価を行います。

この評価によって日々の9段階の入院基本料A~Iが決定しますが、毎月の評価の中で入院基本料A~Fの患者様に対しては、その評価票の内容を説明し交付するとともに、診療録への添付が必要になります。

この「添付」と「交付」は、患者様がどのような医療や介護を受けているかの確認できるものになりますのでとても重要なものになります。

記事URLをコピーしました