区分の概要

「医療区分・ADL区分等に係る評価票」の記入者について

クワホピ

医療療養病床では入院されている患者様の状態を『医療区分・ADL区分等に係る評価票』を用いて評価を行います。

この評価は入院基本料を決定する役目を担っているので、病院の収益や患者様の入院費用に関わってくる重要なものになります。

この記事では、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」の評価を誰がすることが理想なのかを、評価票の記入のあり方によって起こりえる問題点を踏まえて考えていきます。

この記事で学ぶこと
  • 医療区分の評価の実施者について
  • ADL区分の評価の実施者について
  • 複数のスタッフで評価票の記入を実施した際の問題点
  • 評価票の記入者はだれ?

「医療区分・ADL区分等に係る評価票」の評価と記入を誰が行うべきかについて考えていきます。

「医療区分・ADL区分等に係る評価票」の評価の実施者について

患者様の医療区分・ADL区分の評価を誰が行うかについては、医科点数表の解釈においても断定的なことは記載されておらず、誰がその評価を行ってもよいことになっています。

ただ、医療区分・ADL区分の評価の内容を考えると誰でも行えるわけではありません。

実際に、評価の中身を考えながら、どのスタッフが評価を行っていくのが適切かを考えていきます。

医療区分・ADL区分の評価は誰がする?

医療区分とADL区分ではそれぞれ評価の中身が異なるため、どのような評価を行うのかを考える必要があります。

医療区分の評価

医療区分は患者様の医療必要度を評価したものです。

そして、その評価の内容は患者様の病気や症状の状態や、処置・治療などの実施の状態をみるものになっています。

患者様の病気や症状の状態や、処置・治療などの実施の状態を一番把握しているのは療養病床にいる看護師です。

そのため、医療区分の評価は看護師が行うことが理想的です。

ADL区分の評価

ADL区分は患者様の介護必要度を評価したものです。

そして、その評価の内容は患者様の「ベッド上の可動性・移乗・食事・トイレの使用」をみるものになっています。

患者様の「ベッド上の可動性・移乗・食事・トイレの使用」などを一番把握しているのは介護士です。

また、看護師も看護記録を診療録に記入する必要があるので、介護士から報告を受けながら、患者様の状態を把握する必要があります。

そのため、ADL区分の評価は看護師と介護士が連携して行うことが理想的です。

複数の病棟スタッフで評価票の記入を実施した際の問題点

医療区分・ADL区分の中身を確認すると、医療区分を看護師が評価し、ADL区分を看護師、介護士が連携して評価することが理想的です。

ただ、複数の病棟スタッフで医療区分・ADL区分等に係る評価票の記入を行った場合には、多くの問題が浮上する可能性があります。

問題点①:価値観・評価方法の違いによる評価結果のズレ

複数のスタッフで評価票の記入をする場合には、各個人の価値観・評価方法の違いにより評価結果にズレが生じる場合があります。

このズレが起きないように定期的に評価の方法について話し合いや勉強会を行うことが重要ですが、日勤や夜勤など日々忙しく勤務が続くことを考えると不可能です。

そのため、決まったスタッフが評価票への記入を行うことが理想的です。

問題点②:責任が曖昧になり評価がずさんになる

複数のスタッフで評価票の記入を行うということは、記入における責任の所在が曖昧になります。

そのため、誰か一人でも評価票に適当な記入をするスタッフがいた場合には評価票の記入がずさんになってしまいます。

評価票の評価は患者様の入院基本料を決定する重要なものなので、責任をもって記入を行うことが重要です。

問題点③:レセプトのときに医事課との連携が取りづらい

レセプトのときには、医事課が評価票を再度チェックし間違った記入をしていないかの確認を行います。

その際、評価票の記入におかしな部分があれば病棟へ連絡し確認を行うのですが、評価票の記入を複数のスタッフで行っている場合には、その記入を誰が行ったか分からず評価票の確認が行えなくなってしまいます。

評価をするスタッフが増えれば増えるほど、評価票のチェックの問題点は増えていきます。評価票は患者様の入院基本料を決定する重要な書類になり、正確なレセプト業務のために重要なものです。評価票をきちんとチェックできる体制を整えましょう。

評価票の記入は基本的に「病棟師長」が行うことが理想的

前述した問題点を考慮すると、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」の記入については、病棟師長が中心となり患者様の情報を管理しながらチェックを行っていくことで、正確な評価に繋がり、また問題点もクリアすることができそうです。

また、病棟師長は、病棟の責任者として医科点数表の解釈をある程度把握し、業務を遂行する立場であります。

そのため、医療区分・ADL区分の内容を深く理解し、他のスタッフの評価をチェックする立場としても評価票の記入は病棟師長が行うのが理想的と言えます。

病棟師長が評価することにより解決する問題点

先ほど、複数の病棟スタッフで評価票の記入を実施した際の問題点を3つ挙げましたが、病棟師長が評価を行うことにより解決することができます。

問題点病棟師長が評価をすることにより…
価値観・評価方法の違いによる評価結果のズレ 最終評価者が師長になるのでズレが生じない
責任が曖昧になり記入がずさんになる責任の所在が師長になるのでずさんな記入がなくなる
レセプトのときに医事課との連携が取りづらい医事課は師長のみと連絡をとればよいので連携が取りやすい

評価票は、患者様の入院費や病院の収益にも大きく関わる書類です。正確な知識によってしっかり記入をすることが求められます。

「医療区分・ADL区分等に係る評価票」の記入者について|まとめ

病棟で行う医療区分・ADL区分等に係る評価票の記入は、病院の収益に関わる重要な業務です。

そのことを理解した上で、医療区分・ADL区分の評価を行うことが大切であり、その業務を病棟師長が行うことは妥当なことと考えられます。

もしも、複数の病棟スタッフで医療区分・ADL区分等に係る評価票の記入を実施していく場合には、その記入を行うスタッフ全員が医療区分・ADL区分についてしっかりとした知識を持ち、価値観や評価方法にズレが生じないようにしなければならず普通に考えると不可能に近いです。

また、レセプト時に医事課から評価票の記入についての問い合わせがあった場合には、評価票の記入に携わるスタッフはきちんと答えられるようにしておかなければいけません。

レセプトは1週間程度で仕上げなければならないため、「夜勤明けで連休に入るので来週なら答えられます」というわけにもいきません。

評価の方法や記載にミスがあった場合には入院基本料が変化してしまい、そのことが指摘されるようなことがあれば、不正請求として扱われることにもなりかねません。

病院の収益は、正確な請求業務によって安定的に得ることができ、その正確な請求業務は医事課の正確なチェックによって行われます。

「医療区分・ADL区分等に係る評価票」のチェックは医事課だけでなく患者様の状態を知る病棟側とのより良い連携の中で行われるものです。

それらのことを考えると、病棟の責任者である病棟師長が、責任を持って医療区分・ADL区分の評価票への記入を行うことが理想的であり、当然とも言えます。

病棟

複数の病棟スタッフで評価票の記入を実施した際の問題点

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医事課

評価にミスがないか正確なチェック

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病院全体

[正確な請求業務]
病院の収益

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