区分の概要

「医療区分・ADL区分」と療養病棟入院基本料の関係性

クワホピ

療養病棟入院基本料の算定と「医療区分・ADL区分」

医療療養病床での入院料の算定は、「療養病棟入院基本料1」「療養病棟入院基本料2」「特別入院基本料」のいずれかで算定されます。

その中で、療養病棟入院基本料の算定にあたっては、施設基準の届出・入院料の算定などに対して医療区分・ADL区分に関係する書類の作成や計算などが必要になります。

医療区分・ADL区分が、どのように療養病棟入院基本料に対して関わっているのかを確認してみましょう。

A101療養病棟入院基本料の施設基準の届出

療養病棟入院基本料1・療養病棟入院基本料2の施設基準については、「その月の延べ患者数に対しての医療区分2、医療区分3の割合」が基準として設けられています。

療養病棟入院料1の施設基準

当該病棟の入院患者のうち医療区分3の患者と医療区分2の患者との合計が8割以上であること。

医科点数表の解釈(令和6年6月版)

療養病棟入院料2の施設基準

当該病棟の入院患者のうち医療区分3の患者と医療区分2の患者との合計が5割以上であること。

医科点数表の解釈(令和6年6月版)

上記の通り、医療区分2、医療区分3の割合が、療養病棟入院基本料1では8割以上療養病棟入院基本料2では5割以上を達成していることが必要とされています。

療養病棟入院基本料1療養病棟入院基本料2
医療区分2、3の割合8割以上5割以上

「○○割以上」と言われても少し分かりづらいかと思いますので、計算例を挙げて説明します。

医療区分2、医療区分3の割合の計算例

その月の延べ患者数に対しての医療区分2、医療区分3の割合

1月を30日として、その月に40人の患者が入院していたとします。

すると、その月の延べ患者数は1200(30日×40人)となります。

仮に、その1200のうちの医療区分2、3の数が840だったとすると、

医療区分2、3の割合は、840÷1200=0.7となり、7割ということになります。

実際の療養病棟入院基本料の施設基準の届出では、医療区分2、3の割合の計算を3ヵ月の平均を計算し、その計算結果が届出基準を満たす必要があります。

A101療養病棟入院基本料の入院料の算定

A101療養病棟入院基本料(療養病棟入院基本料1、療養病棟入院基本料2)の施設基準の届出が無事に受理されると、療養病棟入院基本料の入院料を算定することになります。

その場合の算定は、医療区分・ADL区分によって入院料が決定する仕組みになっています。

A101療養病棟入院基本料:注1から抜粋

病院の療養病棟であって、看護配置、看護師比率、看護補助配置その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者について、当該基準に係る区分及び当該患者の疾患、状態、ADL等について別に厚生労働大臣が定める区分に従い、当該患者ごとにそれぞれ所定点数を算定する。

医科点数表の解釈(令和6年6月版)

その際、医療区分・ADL区分の評価のために用いられるものが、「医療区分・ADL区分等に係る評価票」です。

入院中の患者様の医療区分・ADL区分の評価は毎日実施され、その評価の結果によって患者様の日々の入院料も決定されるようになっています。

この医療区分・ADL区分による入院料の分類は、平成18年7月に9段階の分類が導入され、令和6年6月から30分類の入院料に改定されました。

9段階から30分類への入院基本料の改定

療養病棟入院基本料の入院料は、患者様の医療区分・ADL区分の評価によって毎日決定されるようになっています。

この評価は、平成18年7月から9段階の入院料として導入され、令和6年6月から30分類の入院料に改定されました。

医療区分・ADL区分を用いた9段階の入院基本料(H18.7~R6.5.31)

医療区分1~3とADL区分1~3の組み合わせを表にしたものが下のものになります。

医療区分1
医療区分2
医療区分3
ADL区分3入院基本料G
医療区分1
ADL区分3
入院基本料D
医療区分2
ADL区分3
入院基本料A
医療区分3
ADL区分3
ADL区分2入院基本料H
医療区分1
ADL区分2
入院基本料E
医療区分2
ADL区分2
入院基本料B
医療区分3
ADL区分2
ADL区分1入院基本料I
医療区分1
ADL区分1
入院基本料F
医療区分2
ADL区分1
入院基本料C
医療区分3
ADL区分1

入院基本料はA~Iまでの9段階になっていて、入院基本料Iから入院基本料Aになるほど診療報酬(入院費用)は高くなるように設定されています。

入院基本料が低い入院基本料が高い
入院基本料I
医療区分1
ADL区分1
入院基本料A
医療区分3
ADL区分3

⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩

医療区分・ADL区分を用いた30分類の入院基本料(R6.6~)

療養病棟入院基本料の入院料は、医療区分とADL区分の組み合わせによって30の入院料に分類されます。

疾患・状態の医療区分1~3
×
処置等の医療区分1~3
×
ADL区分1~3

⇩⇩⇩⇩⇩

3×3×3=計27分類

⇩⇩⇩⇩⇩

上記の計27分類にスモンに関する3分類を合わせた計30分類の評価

処置等 医療区分
処置等 医療区分
処置等 医療区分
疾患・状態 医療区分
ADL区分
3 2 1

① ② ③
ADL区分
3 2 1

④ ⑤ ⑥
ADL区分
3 2 1

⑦ ⑧ ⑨
疾患・状態 医療区分
ADL分
3 2 1

⑩ ⑪ ⑫
ADL区分
3 2 1

⑬ ⑭ ⑮
ADL区分
3 2 1

⑯ ⑰ ⑱
疾患・状態 医療区分
ADL区分
3 2 1

⑲ ⑳ ㉑
ADL区分
3 2 1

㉒ ㉓ ㉔
ADL区分
3 2 1

㉕ ㉖ ㉗
スモン
ADL区分
3 2 1

㉘ ㉙ ㉚

まとめ

医療区分・ADL区分が、医療療養病床の入院料を決定する重要な役割を持っていることをしっかり理解しておくことは大切なことです。

医療療養病床では、ほとんどの場合「療養病棟入院基本料」の算定を行っていると思いますので、医科点数表の解釈に記載されている事項をきちんと確認し把握しておきましょう。

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