リハビリの算定日数制限が除外対象となる患者の判断基準
リハビリテーションにおいて算定日数制限が除外対象となる患者の判断基準とはどのようなものかを説明します。
リハビリの算定日数制限が除外対象になる患者
医科点数表の解釈においては、「心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料」において、以下の疾患については算定日数の上限が除外されることと記載されています。
治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合
- 失語症、失認、失行症
- 高次脳機能障害
- 重度の頚髄損傷
- 頭部外傷、多部位外傷
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 軸索断裂の状態にある末梢神経損傷(発症後1年以内のものに限る。)
- 外傷性の肩関節腱板損傷(受傷後180日以内のものに限る。)
- 回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者
- 回復期リハビリテーション病棟において在棟中に回復期リハビリテーション病棟入院料を算定した患者であって、当該病棟を退棟した日から起算して3月以内の患者(保険医療機関に入院中の患者、介護老人保健施設または介護医療院に入所する患者を除く。)
- 難病患者リハビリテーション料に規定する患者(先天性または進行性の神経・筋疾患の者を除く。)
- 障害児(者)リハビリテーション料に規定する患者(加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病の者に限る。)
- その他リハビリテーションを継続して行うことが必要であると医学的に認められるもの
患者の疾患、状態等を総合的に勘案し、治療上有効であると医学的に判断される場合
- 先天性または進行性の神経・筋疾患の患者
- 障害児(者)リハビリテーション料に規定する患者(加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病の者を除く。)
除外対象とされる診断基準の詳細
除外対象とされる診断基準の詳細は以下の通りです。
高次脳機能障害
「高次脳機能障害診断基準」によること。
厚生労働省の高次脳機能障害診断基準
[Ⅰ 主要症状等]
- 脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されている。
- 現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である。
[Ⅱ 検査所見]
- MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認され散るか、あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できる。
[Ⅲ 除外項目]
- 脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有するが上記主要症状(Ⅰ-2)を欠く者は除外する。
- 診断にあたり、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。
- 先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする者は除外する。
[Ⅳ 診断]
- Ⅰ~Ⅲをすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。
- 高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後において行う。
- 神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。
※器質的病変とは、病気や外傷によって生じる脳の”傷”のことです。
※なお、診断基準のⅠとⅢを満たす一方で、Ⅱの検査所見で脳の器質的病変の存在を明らかにできない症例については、慎重な評価により高次脳機能障害者として診断されることがあり得ます。
重度の頚髄損傷
「重度」とあるが、身体障碍者手帳の等級で判断するのではなく、医師が算定日数上限を超え、継続的にリハビリテーションを行うことにより症状の改善が見込まれると診断すればよい。特段の規定はないが、定期的に評価を行い、症状の改善が認められている必要がある。
頭部外傷及び多部位外傷
頭部外傷か、多部位外傷であれば除外対象となる。
多部位外傷とは、体幹・四肢における2部位以上の骨・関節・神経・腱・靱帯の損傷であって回復に長期間を要するものが該当する。
脳卒中による神経障害で麻痺や後遺症のある患者について
脳卒中により神経障害を来たし麻痺や後遺症のある患者については、傷害(児)者リハビリテーション料に規定する「神経障害による麻痺及び後遺症」に含まれるため、算定日数上限は適用除外になる。
ただし、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合であれば対象になる。なお、定期的に客観的な評価を行った上で医師が適切に判断する。
加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病の者とは?
要支援または要介護の認定を受けた者
P699、P1926