療養病棟入院基本料における「包括項目」について
療養病棟入院基本料における「包括評価」の概要
医療療養病床では、療養病棟入院基本料を算定する患者様に対して実施される医療において、定められた項目については入院基本料に含める「包括評価」をすることになっています。
この包括評価をする項目には、「検査・投薬・注射・リハビリテーション・病理診断・画像診断・処置」等が定められています。
包括評価は、医療サービスの提供の縮小を招くことに繋がるため、医療の質の低下を招くように感じますが、長期的な療養を目的とし、病状も大きく変化しない慢性的な患者様に対して、過剰な医療サービスの提供が行われないようにするためのものでもあります。
また、すべての医療行為が包括項目に含まれるわけではないので、包括されない項目の医療行為については、入院基本料と別に算定することが可能です。
包括評価の言い換えは「まるめ」
医療療養病床における「包括評価」とは、1日あたりの入院医療費が定額料金で算定されるという意味合いを持ちます。
そのため、医療療養病床で実施される診療において、医科点数表の解釈で定められている項目については、入院基本料に含まれて算定されることになります。
ちなみに、この包括項目は「まるめ」という言葉で表現されます。
- 「○○の検査はまるめだから算定できない」
- 「○○の処置はまるめだから算定できない」
医科点数表の解釈での「包括項目」の記載内容
療養病棟入院基本料における包括項目については、医科点数表の解釈において以下のように記載があります。
【A101 療養病棟入院基本料 注3】
療養病棟入院基本料を算定する患者に対して行った第3部検査、第5部投薬、第6部注射、第7部リハビリテーション(別に厚生労働大臣が定めるものに限る。)及び第13部病理診断並びに第4部画像診断及び第9部処置のうち別に厚生労働大臣が定める画像診断及び処置の費用(フィルムの費用を含み、別に厚生労働大臣が定める薬剤及び注射薬(以下この表において「除外薬剤・注射薬」という。)の費用を除く。)は、当該入院基本料に含まれるものとする。
ただし、患者の急性増悪により、同一の保険医療機関の一般病棟へ転棟又は別の保険医療機関の一般病棟へ転院する場合には、その日から起算して3日前までの当該費用については、この限りでない。
また、使用する薬剤や特定保険医療材料については、以下のように記載があります。
【療養病棟入院基本料について:抜粋】
(4)基本診療料の施設基準等「別表第五」に掲げる画像診断及び処置並びにこれらに伴い使用する薬剤、特定保険医療材料又はJ201酸素加算の費用並びに浣腸、注腸、吸入等基本診療料に含まれるものとされている簡単な処置及びこれに伴い使用する薬剤又は特定保険医療材料の費用については療養病棟入院基本料に含まれる。
なお、療養病棟入院基本料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、療養病棟入院基本料に含まれているものであるため別に算定できない。
ただし、「注1」のただし書の規定により、入院料27を算定する場合については、この限りではない。
黄色下線・赤文字の示す部分の記載
「注3」の黄色下線・赤文字の示す部分の記載が、以下の内容になります。
【A101 療養病棟入院基本料】
【療養病棟入院基本料に含まれる画像診断及び処置の費用、含まれない除外薬剤・注射薬の費用、含まれるリハビリテーションの費用】
◇ 基本診療料の施設基準等
第五 病院の入院基本料の施設基準等
三 療養病棟入院基本料の施設基準等
(3)療養病棟入院基本料に含まれる画像診断及び処置の費用並びに含まれない除外薬剤・注射薬の費用
療養病棟入院基本料(特別入院基本料を含む。)を算定する患者に対して行った検査、投薬、注射並びに別表第五※1に掲げる画像診断及び処置の費用(フィルムの費用を含む。)は、当該入院基本料に含まれるものとし、別表第五※1及び別表第五の一のニ※2に掲げる薬剤及び注射薬の費用は、当該入院基本料に含まれないものとする。
(4)療養病棟入院基本料に含まれるリハビリテーションの費用
入院中の患者に対する心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料であって1日につき2単位を超えるもの(特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)別表第九の三に規定する脳血管疾患等の患者であって発症後60日以内のものに対して行ったものを除く。)の費用(療養病棟入院料1の入院料27及び療養病棟入院料2の入院料27を算定する日に限る。)は、当該入院基本料に含まれるものとする。
別表第五※1 特定入院基本料、療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料の注6、注13及び注14の点数並びに有床診療所療養病床入院基本料に含まれる画像診断及び処置並びにこれらに含まれない除外薬剤・注射薬
一 これらに含まれる画像診断
写真診断(単純撮影(エックス線診断料に係るものに限る。)に限る。)
撮影(単純撮影(エックス線診断料に係るものに限る。)に限る。)
ニ これらに含まれる処置
創傷処置(手術日から起算して14日以内の患者に対するものを除く。)
喀痰吸引
摘便
酸素吸入
酸素テント
皮膚科軟膏処置
膀胱洗浄
留置カテーテル設置
導尿
膣洗浄
眼処置
耳処置
耳管処置
鼻処置
口腔、咽頭処置
間接喉頭鏡下咽頭処置
ネブライザ
超音波ネブライザ
介達牽引
消炎鎮痛等処置
鼻腔栄養
長期療養患者褥瘡等処置
三 これらに含まれない除外薬剤(特定入院基本料に係る場合を除く。)
抗悪性腫瘍剤(悪性新生物に罹患している患者に対して投与された場合に限る。)、HIF-PH阻害剤(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。)、及び疼痛コントロールのための医療用麻薬
四 これらに含まれない注射薬(特定入院基本料に係る場合を除く。)
抗悪性腫瘍剤(悪性新生物に罹患している患者に対して投与された場合に限る。)、エリスロポエチン(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。)、ダルベポエチン(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。)、エポエチンベータペゴル(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。)及び疼痛コントロールのための医療用麻薬
別表第五の一のニ※2 特定入院基本料、療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料の注6、注13及び注14の点数並びに有床診療所療養病床入院基本料に含まれない除外薬剤・注射薬並びに特殊疾患入院医療管理料、回復期リハビリテーション病棟入院料、特殊疾患病棟入院料、緩和ケア病棟入院料、認知症治療病棟入院料及び特定機能病院リハビリテーション病棟入院料の除外薬剤・注射薬
インターフェロン製剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能若しくは効果を有するものに限る。)
抗ウイルス剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能若しくは効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV感染症の効能若しくは効果を有するものに限る。)
血友病の患者に使用する医薬品(血友病患者における出血傾向の抑制の効能又は効果を有するものに限る。)
緑色下線・青文字の示す部分の記載
「注3」の緑色下線・青文字の示す部分の記載が、以下の内容になります。
【A101 療養病棟入院基本料 注1:抜粋】
注3のただし書に該当する場合には、当該基準に係る区分に従い、それぞれ1又は2の入院料27を算定する。
「包括項目」の解釈
療養病棟入院基本料での「包括項目」に関する記載についての解釈をまとめていきます。
包括項目の解釈①:「A101 療養病棟入院基本料 注3」の解釈
【A101 療養病棟入院基本料 注3】
療養病棟入院基本料を算定する患者に対して行った第3部検査、第5部投薬、第6部注射、第7部リハビリテーション(別に厚生労働大臣が定めるものに限る。)及び第13部病理診断並びに第4部画像診断及び第9部処置のうち別に厚生労働大臣が定める画像診断及び処置の費用(フィルムの費用を含み、別に厚生労働大臣が定める薬剤及び注射薬(以下この表において「除外薬剤・注射薬」という。)の費用を除く。)は、当該入院基本料に含まれるものとする。
ただし、患者の急性増悪により、同一の保険医療機関の一般病棟へ転棟又は別の保険医療機関の一般病棟へ転院する場合には、その日から起算して3日前までの当該費用については、この限りでない。
【A101 療養病棟入院基本料 注3】では、「当該入院基本料に含まれるものとする」という記載部分で包括項目についての定義をし、「ただし~この限りでない。」という記載部分で包括項目を算定可能な場合の定義をしています。
医科点数表の解釈 | 解釈 |
---|---|
当該入院基本料に含まれるものとする | 包括項目についての定義 |
ただし~この限りでない。 | 包括項目を算定可能な場合の定義 |
「包括項目についての定義」の記載
療養病棟入院基本料における「包括項目についての定義」に関することは、医科点数表の解釈で以下のように記載されています。
【A101 療養病棟入院基本料 注3:抜粋】
療養病棟入院基本料を算定する患者に対して行った第3部検査、第5部投薬、第6部注射、第7部リハビリテーション(別に厚生労働大臣が定めるものに限る。)及び第13部病理診断並びに第4部画像診断及び第9部処置のうち別に厚生労働大臣が定める画像診断及び処置の費用(フィルムの費用を含み、別に厚生労働大臣が定める薬剤及び注射薬(以下この表において「除外薬剤・注射薬」という。)の費用を除く。)は、当該入院基本料に含まれるものとする。
上記の記載をまとめると、以下のようになります。
【包括項目の定義】
療養病棟入院基本料を算定する患者に対して行った以下の項目については、当該入院基本料に含まれるものとする。
- 第3部検査
- 第5部投薬
- 第6部注射
- 第7部リハビリテーション(別に厚生労働大臣が定めるものに限る。)
- 第13部病理診断、第4部画像診断、第9部処置のうち別に厚生労働大臣が定める画像診断及び処置の費用(フィルムの費用を含み、別に厚生労働大臣が定める薬剤及び注射薬(以下この表において「除外薬剤・注射薬」という。)の費用を除く。)
「包括項目を算定可能な場合の定義」の記載
療養病棟入院基本料における「包括項目を算定可能な場合の定義」に関することは、医科点数表の解釈で以下のように記載されています。
【A101 療養病棟入院基本料 注3:抜粋】
ただし、患者の急性増悪により、同一の保険医療機関の一般病棟へ転棟又は別の保険医療機関の一般病棟へ転院する場合には、その日から起算して3日前までの当該費用については、この限りでない。
また、解釈文にある「ただし書」については、【A101 療養病棟入院基本料 注1】において、以下のように記載があります。
【A101 療養病棟入院基本料 注1:抜粋】
注3のただし書に該当する場合には、当該基準に係る区分に従い、それぞれ1又は2の入院料27を算定する。
上記の記載をまとめると、以下のようになります。
【包括項目を算定可能な場合の定義】
患者の急性増悪により、
- 同一の保険医療機関の一般病棟へ転棟
- 別の保険医療機関の一般病棟へ転院
する場合には、その日から起算して3日前までは包括項目の算定が可能です。
包括項目を算定する場合には、入院料27を算定する。
包括項目の解釈②:画像診断
療養病棟入院基本料の「包括項目」において、以下のように記載されています。
【A101 療養病棟入院基本料】
【療養病棟入院基本料に含まれる画像診断及び処置の費用、含まれない除外薬剤・注射薬の費用、含まれるリハビリテーションの費用:抜粋】
別表第五 特定入院基本料、療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料の注6、注13及び注14の点数並びに有床診療所療養病床入院基本料に含まれる画像診断及び処置並びにこれらに含まれない除外薬剤・注射薬
一 これらに含まれる画像診断
写真診断(単純撮影(エックス線診断料に係るものに限る。)に限る。)
撮影(単純撮影(エックス線診断料に係るものに限る。)に限る。)
上記の抜粋部分をまとめると、以下のようになります。
これらに含まれる画像診断は包括される
- 写真診断・撮影
[単純撮影(エックス線診断料に係るものに限る。)に限る。]
エックス線診断料に係る単純撮影とは、胸部レントゲン撮影などの単純レントゲン撮影がそれにあたります。
そのため、療養病棟入院基本料を算定する医療療養病床において、胸部レントゲン撮影や股関節頚部骨折の手術後のレントゲン撮影などを行ったとしても、入院基本料に含まれるため算定することはできません。
医療療養病床でよく行われる包括される画像診断
- 胸部レントゲン撮影
- 腹部レントゲン撮影
- 肩関節撮影
- 膝関節撮影
- 股関節撮影 など
包括項目の解釈③:処置
療養病棟入院基本料の「包括項目」において、以下のように記載されています。
【A101 療養病棟入院基本料】
【療養病棟入院基本料に含まれる画像診断及び処置の費用、含まれない除外薬剤・注射薬の費用、含まれるリハビリテーションの費用:抜粋】
別表第五 特定入院基本料、療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料の注6、注13及び注14の点数並びに有床診療所療養病床入院基本料に含まれる画像診断及び処置並びにこれらに含まれない除外薬剤・注射薬
ニ これらに含まれる処置
創傷処置(手術日から起算して14日以内の患者に対するものを除く。)
喀痰吸引
摘便
酸素吸入
酸素テント
皮膚科軟膏処置
膀胱洗浄
留置カテーテル設置
導尿
膣洗浄
眼処置
耳処置
耳管処置
鼻処置
口腔、咽頭処置
間接喉頭鏡下咽頭処置
ネブライザ
超音波ネブライザ
介達牽引
消炎鎮痛等処置
鼻腔栄養
長期療養患者褥瘡等処置
上記の抜粋部分をまとめると、以下のようになります。
これらに含まれる処置は包括される
- 創傷処置(手術日から14日以内のものを除く。)
- 喀痰吸引
- 摘便
- 酸素吸入
- 酸素テント
- 皮膚科軟膏処置
- 膀胱洗浄
- 留置カテーテル設置
- 導尿
- 膣洗浄
- 眼処置
- 耳処置
- 耳管処置
- 鼻処置
- 口腔、咽頭処置
- 間接喉頭鏡下喉頭処置
- ネブライザ
- 超音波ネブライザ
- 介達牽引
- 消炎鎮痛等処置
- 鼻腔栄養
- 長期療養患者褥瘡処置
療養病棟入院基本料を算定する医療療養病床では、高齢者の入院が多く、その中には寝たきりで酸素吸入や喀痰吸引が必要な患者様や、経鼻経管栄養が必要な患者様もいます。
そのような患者様への処置の多くは、包括項目に含まれているため算定することはできません。
包括項目の解釈④:薬剤
療養病棟入院基本料の「包括項目」において、以下のように記載されています。
【A101 療養病棟入院基本料】
【療養病棟入院基本料に含まれる画像診断及び処置の費用、含まれない除外薬剤・注射薬の費用、含まれるリハビリテーションの費用:抜粋】
別表第五 特定入院基本料、療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料の注6、注13及び注14の点数並びに有床診療所療養病床入院基本料に含まれる画像診断及び処置並びにこれらに含まれない除外薬剤・注射薬
三 これらに含まれない除外薬剤(特定入院基本料に係る場合を除く。)
抗悪性腫瘍剤(悪性新生物に罹患している患者に対して投与された場合に限る。)、HIF-PH阻害剤(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。)、及び疼痛コントロールのための医療用麻薬
療養病棟入院基本料を算定する医療療養病床では、特定の薬剤以外の薬剤の使用を包括項目として定めています。
これらに含まれない薬剤は包括される
- 抗悪性腫瘍剤
(悪性新生物に罹患している患者に対して投与された場合に限る。) - HIF-PH阻害剤
(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。) - 疼痛コントロールのための医療用麻薬
包括項目の解釈⑤:注射薬
療養病棟入院基本料の「包括項目」において、以下のように記載されています。
【A101 療養病棟入院基本料】
【療養病棟入院基本料に含まれる画像診断及び処置の費用、含まれない除外薬剤・注射薬の費用、含まれるリハビリテーションの費用:抜粋】
別表第五 特定入院基本料、療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料の注6、注13及び注14の点数並びに有床診療所療養病床入院基本料に含まれる画像診断及び処置並びにこれらに含まれない除外薬剤・注射薬
四 これらに含まれない注射薬(特定入院基本料に係る場合を除く。)
抗悪性腫瘍剤(悪性新生物に罹患している患者に対して投与された場合に限る。)、エリスロポエチン(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。)、ダルベポエチン(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。)、エポエチンベータペゴル(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。)及び疼痛コントロールのための医療用麻薬
療養病棟入院基本料を算定する医療療養病床では、特定の注射薬以外の注射薬の使用を包括項目として定めています。
これらに含まれない注射薬は包括される
- 抗悪性腫瘍剤
(悪性新生物に罹患している患者に対して投与された場合に限る。) - エリスロポエチン
(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。) - ダルベポエチン
(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。) - エポエチンベータペゴル
(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。) - 疼痛コントロールのための医療用麻薬
包括項目の解釈⑥:その他の薬剤及び注射薬
療養病棟入院基本料の「包括項目」において、以下のように記載されています。
【A101 療養病棟入院基本料】
【療養病棟入院基本料に含まれる画像診断及び処置の費用、含まれない除外薬剤・注射薬の費用、含まれるリハビリテーションの費用:抜粋】
別表第五の一のニ 特定入院基本料、療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料の注6、注13及び注14の点数並びに有床診療所療養病床入院基本料に含まれない除外薬剤・注射薬並びに特殊疾患入院医療管理料、回復期リハビリテーション病棟入院料、特殊疾患病棟入院料、緩和ケア病棟入院料、認知症治療病棟入院料及び特定機能病院リハビリテーション病棟入院料の除外薬剤・注射薬
インターフェロン製剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能若しくは効果を有するものに限る。)
抗ウイルス剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能若しくは効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV感染症の効能若しくは効果を有するものに限る。)
血友病の患者に使用する医薬品(血友病患者における出血傾向の抑制の効能又は効果を有するものに限る。)
療養病棟入院基本料を算定する医療療養病床では、特定の薬剤・注射薬以外のものの使用を包括項目として定めています。
これらに含まれない薬剤及び注射薬は包括される
- インターフェロン製剤
(B型肝炎又はC型肝炎の効能若しくは効果を有するもの) - 抗ウイルス剤
(B型肝炎、又はC型肝炎の効能、若しくは効果を有するもの、及び後天性免疫不全症候群、又はHIV感染症の効能、若しくは効果を有するもの) - 血友病の患者に使用する医薬品
(血友病患者における出血傾向の抑制の効能、又は効果を有するもの)
療養病棟入院基本料に関する事務連絡
【療養病棟入院基本料に関する事務連絡】
問 療養病棟入院基本料を算定する病棟において、インターフェロン、酢酸リュープレリン等の悪性腫瘍に対する効能を有する製剤を使用した場合、抗悪性腫瘍剤として薬剤料を算定できるか?
答 算定できる。
(平28.3.31 その1・問35)
包括項目の解釈⑦:特定保険医療材料・酸素などの費用
療養病棟入院基本料の「包括項目」において、以下のように記載されています。
【療養病棟入院基本料について:抜粋】
(4)基本診療料の施設基準等「別表第五」に掲げる画像診断及び処置並びにこれらに伴い使用する薬剤、特定保険医療材料又はJ201酸素加算の費用並びに浣腸、注腸、吸入等基本診療料に含まれるものとされている簡単な処置及びこれに伴い使用する薬剤又は特定保険医療材料の費用については療養病棟入院基本料に含まれる。
なお、療養病棟入院基本料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、療養病棟入院基本料に含まれているものであるため別に算定できない。
ただし、「注1」のただし書の規定により、入院料27を算定する場合については、この限りではない。
療養病棟入院基本料を算定する医療療養病床では、特定保険医療材料・酸素などの費用を包括項目として定めています。
また、解釈文にある「注1のただし書の規定」は、【A101 療養病棟入院基本料 注1】において、以下のように記載があります。
【A101 療養病棟入院基本料 注1:抜粋】
注3のただし書に該当する場合には、当該基準に係る区分に従い、それぞれ1又は2の入院料27を算定する。
【A101 療養病棟入院基本料 注3:抜粋】
ただし、患者の急性増悪により、同一の保険医療機関の一般病棟へ転棟又は別の保険医療機関の一般病棟へ転院する場合には、その日から起算して3日前までの当該費用については、この限りでない。
これらをまとめると以下のようになります。
特定保険医療材料・酸素などは包括される
- 以下に伴い使用する薬剤、特定保険医療材料
- 「別表第五」に掲げる画像診断及び処置
- 浣腸、注腸、吸入等、基本診療料に含まれるものとされている簡単な処置
- J201酸素加算
包括項目の解釈⑧:リハビリテーションの費用
療養病棟入院基本料の「包括項目」において、以下のように記載されています。
【A101 療養病棟入院基本料】
【療養病棟入院基本料に含まれる画像診断及び処置の費用、含まれない除外薬剤・注射薬の費用、含まれるリハビリテーションの費用:抜粋】
(4)療養病棟入院基本料に含まれるリハビリテーションの費用
入院中の患者に対する心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料であって1日につき2単位を超えるもの(特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)別表第九の三に規定する脳血管疾患等の患者であって発症後60日以内のものに対して行ったものを除く。)の費用(療養病棟入院料1の入院料27及び療養病棟入院料2の入院料27を算定する日に限る。)は、当該入院基本料に含まれるものとする。
【療養病棟入院基本料について:抜粋】
(5)「注3」について、入院料27を算定する場合、入院中の患者に対する心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料について、1日につき2単位を超えるものは、当該入院基本料に含まれるものとする。
療養病棟入院基本料(特別入院基本料を除く。)を算定する医療療養病床では、リハビリテーション料の算定の一部を包括項目として定めています。
これらのリハビリテーションは包括される
療養病棟入院料1と療養病棟入院料2において、入院料27の患者へのリハビリテーションにおいて、1日につき2単位を超えるもの
療養病棟入院料1、療養病棟入院料2において入院料27を算定する患者について、1日につき2単位を超えるものは包括になります。
- 心大血管疾患リハビリテーション料
- 脳血管疾患等リハビリテーション料
- 廃用症候群リハビリテーション料
- 運動器リハビリテーション料
- 呼吸器リハビリテーション料
ただし、特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)別表第九の三※3に規定する脳血管疾患等の患者であって発症後60日以内のものに対して行ったものを除く。
【疾患別リハビリテーションに係る算定単位数上限緩和対象患者「通則4」:抜粋】
別表第九の三※3 医科点数表第2章第7部リハビリテーション通則第4号に規定する患者※4
回復期リハビリテーション病棟入院料又は特定機能病院リハビリテーション病棟入院料を算定する患者(運動器リハビリテーション料を算定するものを除く。)
脳血管疾患等の患者のうち発症後60日以内のもの
入院中の患者であって、その入院する病棟等において早期歩行、ADLの自立等を目的として心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)又は廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)、運動器リハビリテーション料(Ⅰ)又は呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)を算定するもの
【医科点数表第2章第7部リハビリテーション通則第4号に規定する患者※4】
心大血管疾患等リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料については、患者の疾患等を勘案し、最も適当な区分1つに限り算定できる。
この場合、患者の疾患、状態等を総合的に勘案し、治療上有効であると医学的に判断される場合であって、患者1人につき1日6単位(別に厚生労働大臣が定める患者については1日9単位)に限り算定できるものとする。
「包括項目を算定可能な場合」の解釈
医療療養病床においては、通常「包括項目」は入院基本料に含まれるため算定することはできませんが、医科点数表の解釈に包括項目であっても算定可能な場合があることの記載があります。
【A101 療養病棟入院基本料 注1:抜粋】
注3のただし書に該当する場合には、当該基準に係る区分に従い、それぞれ1又は2の入院料27を算定する。
【A101 療養病棟入院基本料 注3:抜粋】
ただし、患者の急性増悪により、同一の保険医療機関の一般病棟へ転棟又は別の保険医療機関の一般病棟へ転院する場合には、その日から起算して3日前までの当該費用については、この限りでない。
【療養病棟入院基本料について:抜粋】
(1)
ただし、「注1」の入院料を算定している場合において、患者の急性増悪により、同一の保険医療機関の一般病棟へ転棟する場合にはその前日を1日目として3日前までの間、別の保険医療機関の一般病棟へ転院する場合にはその当日を1日目として3日前までの間は、その日ごとに入院料27を算定することができる。
【療養病棟入院基本料について:抜粋】
(6)療養病棟入院基本料を算定する病棟は主として長期にわたり療養の必要な患者が入院する施設であり、医療上特に必要がある場合に限り他の病棟への患者の移動は認められるが、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。なお、「注1」のただし書の規定により入院料27を算定した場合においても、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。
上記の記載をまとめると以下のようになります。
包括項目を算定可能な場合
患者の急性増悪によって
- 一般病棟へ転棟(同一の保険医療機関)
- 一般病棟へ転院(別の保険医療機関)
をして、入院料27を算定する場合。
包括項目を算定可能な日数は、
- 一般病棟へ転棟(同一の保険医療機関):転棟する1日前・2日前・3日前
- 一般病棟へ転院(別の保険医療機関) :転院日・1日前・2日前
他の病棟へ患者が移動して入院料27を算定した場合においても、医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。
一般病棟へ転棟(同一の保険医療機関)
同じ医療機関の一般病棟へ「転棟」する場合、転棟する1日前・2日前・3日前において、「入院料27 + 包括項目」での算定が可能になります。
医療療養病床 (療養病棟入院基本料1・2) | 一般病棟 (同じ医療機関) | |
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医療区分・ADL区分に合わせた入院料 | ー | |
医療区分・ADL区分に合わせた入院料 | ー | |
3日前 | 入院料27 + 包括項目 | ー |
2日前 | 入院料27 + 包括項目 | ー |
1日前 | 入院料27 + 包括項目 | ー |
転棟した日 | ー | 一般病棟入院基本料 |
ー | 一般病棟入院基本料 | |
ー | 一般病棟入院基本料 |
病棟移動時の入院料については、医科点数表の解釈において以下のように記載があります。
【病棟移動時の入院料について】
同一保険医療機関内の病棟(病室及び治療室を含む。)から病棟(病室及び治療室を含む。)に移動した日の入院料の算定については、移動先の病棟(病室及び治療室を含む。)の入院料(入院基本料又は特定入院料)を算定する。
上記の記載により、同一医療機関において医療療養病床から一般病床に転棟した場合には、転棟先である一般病床の入院料を算定することになります。
一般病棟へ転院(別の保険医療機関)
別の医療機関の一般病棟へ「転院」する場合、転院日・1日前・2日前において、「入院料27 + 包括項目」での算定が可能になります。
医療療養病床 (療養病棟入院基本料1・2) | 一般病棟 (別の医療機関) | |
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医療区分・ADL区分に合わせた入院料 | ー | |
医療区分・ADL区分に合わせた入院料 | ー | |
医療区分・ADL区分に合わせた入院料 | ー | |
2日前 | 入院料27 + 包括項目 | ー |
1日前 | 入院料27 + 包括項目 | ー |
転院した日 | 入院料27 + 包括項目 | 一般病棟入院基本料 |
ー | 一般病棟入院基本料 | |
ー | 一般病棟入院基本料 |
別の医療機関との間での患者の移動においては、入院基本料の算定が重複して行うことが可能なので、上記のような算定になります。