厚生局

返還請求への対応

クワホピ

基準の届け出やレセプト業務において、指摘があり「返還請求」があることは、病院にとってとても大きな出来事です。

普段から、基準に沿っての診療と、それに合わせたレセプト業務を行っている施設においては、そのようなことは起こりえませんが、もし返還請求があった場合にはどのようなながれになるのかを具体例を挙げながら説明していきます。

「返還請求」のながれ

返還請求は、大きく3つのながれで進んでいきます。

  1. 返還請求書類一式が送られてくる
  2. 保険医療機関概要、調査結果表の提出
  3. 返還関係書類の提出

この3つのながれは、一月単位で進んでいきます。

下に、例を記載します。

  1. 1月31日に、返還請求書類一式が送られてくる
  2. 2月28日までに、保険医療機関概要、調査結果表を提出する
  3. 4月1日までに、返還関係書類を提供する

つまり、返還請求の書類が月末にいきなり届いて、そのあと一か月以内にどのように対応するのか決めて厚生局に書類を提出し、その次の一か月以内に返還に関係する書類をまとめて提出しないといけなくなるということです。

少し分かりづらいかもしれないので、具体的にどのようなことをするのかをまとめていきます。

① 返還請求書類一式が送られてくる

まずは、返還請求書類一式が病院に送られてきます。

これは、もちろん前触れもなく送られてきます。
(※日付は先ほど例で挙げた日付に合わせてあります)

事務連絡
○○年1月31日

保険医療機関 開設者 様

○○厚生局○○事務所長

○○年次会計検査院実地検査における
診療報酬算定に関する指摘事項の調査について

 日頃より、医療保険事業の運営につきまして、格別のご配慮をいただき厚くお礼申し上げます。

 さて、先般行われました会計検査院による医療費に関する会計実施検査において、貴院より請求された診療報酬明細書の算定内容(別紙参照)に疑義がある旨の指摘を受けましたので、その事実関係について調査のうえ、保険医療機関概要(別添1)及び調査結果表(別添2)を提出期限内に下記連絡先宛てご提出いただきますよう、宜しくお願い致します。

 なお、調査の結果、返還金が発生した場合は、返還関係書類をご提出いただきますよう併せてお願いいたします。

提出期限:
○○年2月28日・・保険医療機関概要(別添1
          調査結果表(別添2
○○年4月1日・・・返還関係書類       

まずは、この通知により、いつまでに何の書類を厚生局に提出をするのかを確認します。

また、返還請求の理由は「別紙参照」とあるように、別紙にまとめられています。

まとめられているものは、別紙とレセプト用紙内で指摘箇所にチェックをしたものです。

(別紙)

○○病院(医療コード)○○市

1.会計検査院の指摘事項

  ○○について、○○な事例がある。

2.返還調査対象期間

  ○○年○月診療分から直近の診療月まで

3.対象者及び具体的な内容

  ○○がない

4.提出していただく書類

  1. 保険医療機関概要(別添1)
  2. 調査結果値表(別添2)
    (注)調査結果において、2の「適正な請求を行っている」を選択された場合は、適正な請求を行っていることが分かる書類を添付すること。
  3. 返還同意書、返還内訳書、保険者別返還金額一覧表
  4. 返還対象のレセプトの写し
  5. 対象レセプトが査定を受けている場合は査定通知書の写し

1.会計検査院の指摘事項

今回の返還請求が、どのような事例に対するものなのかが記載されています。

2.返還調査対象期間

指摘を受けた月から遡って2年間が返還請求の対象期間になります。月に1,000万円の返還額があるとすると、24ヶ月で2億4,000万円となり、病院としては経営に大打撃を受けることになります。

3.対象者及び具体的な内容

対象となる患者、対象疾患などが記載されます。対象となる患者が多い場合には、「他 同様案件」と記載され、2年間を遡り自施設で調べることが必要になります。

4.提出していただく書類

「①保険医療機関概要(別添1)・②調査結果表(別添2)」は、返還請求書類が届いてから1ヵ月以内に厚生局に提出しなければならない書類になります。「③返還同意書、返還内訳書、保険者別返還金額一覧表・④返還対象のレセプト写し・⑤対象レセプトが査定を受けている場合は査定通知書の写し」は、その次の1ヵ月で提出する書類になります。

② 保険医療機関概要、調査結果表の提出

返還請求書類の確認をしたあとは、決められた期日(書類送付から約1ヵ月)までに、「保険医療機関概要(別添1)・調査結果表(別添2)」の2つの書類を提出します。

それぞれの書類の内容は以下のようになっています。

保険医療機関概要(別添1)の内容

別添1は、医療機関の概要を記入するものです。

  • 保険医療機関コード
  • 医療機関名称(正式名称)
  • 保険医療機関所在地
  • 開設者(代表者)
  • 開設年月日
  • 指定(更新)年月日
    ※「保険医療機関 指定通知書」の日付
  • 電話番号
  • FAX番号
  • 保険医療機関種別
    ※病院(一般・精神・結核・療養・特定機能・専門)・診療所
  • 病床数の内訳
  • 備考
  • 担当部署・担当者
  • 連絡先電話番号

調査結果表(別添2)

別添2は、今回の返還請求に係る指摘事項について、厚生局への回答を行う用紙になります。

2つの回答欄が用意されており、

  1. 今回の指摘事項については、不適切な診療報酬の請求であった。
  2. 今回の指摘事項については、適正な診療報酬の請求を行っている。

のどちらかの回答をるすようになっています。

①を選択する場合には、「誤って診療報酬を請求した原因、理由等」を記入します。

②を選択する場合には、「適正な請求を行っていることが分かる書類の添付及び経過、理由等」を記入します。

また、書類の添付とあるので、1ヵ月の提出期限の間に返還調査対象期間をすべて遡ってチェックをし、診療録等の必要書類を揃えて提出をしなければなりません。

1ヵ月という期限のある中での添付書類の作成は、とても大変な作業であるため、医療機関としてどのような返答をするかで医事課や関連部署の状況が大きく変化します。

③ 返還関係書類の提出

返還関係書類の提出は、以下の書類を提出します。

  • 返還同意書
  • 返還内訳書
  • 保険者別返還金額一覧表
  • 返還対象のレセプト写し
  • 査定通知書の写し(対象レセプトが査定を受けている場合)

書類の作成にあたっては、送られてきた書類一式の中に、作成手順が同封されています。

また、管轄の厚生局ホームページにおいても説明がされ、エクセルで「返還金関係書類作成ツール」というものも作られています。

診療(調剤)報酬の返還手続きについて

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