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看護配置数の計算|「○○:1」の考え方について

クワホピ

看護配置とは、病棟ごとにおいて入院している患者様に対しての必要な看護職員の数を示しているものになります。

国に定められている病床はいくつかに分類されているので、それぞれの病床ごとの医療必要度に合わせて看護配置数は定められいます。

例えば、急性期病床では医療の必要度の高い患者様が多く入院するので看護配置数は多く設定され、慢性期病床では急性期病床に比べて看護配置数は少なく設定されているということです。

この看護配置数は、患者様の人数に対しての看護職員の人数で表されていて、「○○:1(○○対1)」と表示されます。

病院では、届け出た病床区分ごとに必要な看護職員の人数を「看護配置数」として配置する必要があります。今回は、療養病棟入院基本料の20:1を例に挙げて『病棟における看護配置数の計算方法』について説明していきます。

看護配置数を表す「○○:1(○○対1)」

看護配置には、病床区分ごとに「7:1」「10:1」「13:1」「15:1」「20:1」「25:1」などの種類があります。

そして、この「○○:1」というのは「患者様の人数:看護職員の人数」を表しています。

○○:1 = 患者様の人数:看護職員の人数

ちなみに、「7:1」の看護配置では7人の患者様に対し1人以上の看護職員を配置する必要があり、「25:1」の看護配置では25人の患者様に対し1人以上の看護職員を配置する必要があります。

○○:1看護職員の配置
7:17人の患者に対し1人以上の看護師の配置
10:110人の患者に対し1人以上の看護師の配置
13:113人の患者に対し1人以上の看護師の配置
15:115人の患者に対し1人以上の看護師の配置
20:120人の患者に対し1人以上の看護師の配置
25:125人の患者に対し1人以上の看護師の配置

「25:1」→「7:1」になるほど手厚い看護になる

看護配置では「7:1」に向かうほど患者様に対し最も看護師を配置していることになるため、それだけ手厚い看護をしていることになります。

  • 「7:1」 → 7人の患者ごとに1人以上の看護師
  • 「25:1」 → 25人の患者ごとに1人以上の看護師

病院にある病棟は、急性期病棟、回復期病棟、療養病棟など病床の目的によって分類されています。

そして、その目的に合わせた医療を行えるように看護配置基準を適切に定めています。

医療必要度の高い病棟の方が手厚い看護になるように決められている

看護配置は、医療必要度の高い病棟の方が手厚い看護になるように決められています。

つまり、急性期病棟など医療必要度の高い病棟では多く配置するように定められ、療養病棟など医療必要度が急性期病に比べ低い病棟では少なくてもよい配置になるように定められているということです。

これは、急性期病棟の方が医療必要度の高い患者様が多く入院されるからです。

看護配置基準を満たさないと病棟の運営ができない

病院の運営をする場合には、看護配置基準を満たさないと診療報酬の算定ができないように定められています。

例えば、急性期病棟として運営しようとしている病棟の看護配置基準が「7:1」であった場合に、看護師の数が足りなければ急性期病棟として運営させてもらえないことになります。

仮に、その病院の病院長が「うちの病院は少ない人数でも看護体制に問題はない」と、少ない看護人数で病院を運営しても認められません。

それだけ、看護配置基準は重要なものになります。

看護配置数の計算

看護配置数の計算を療養病床の施設基準を例に挙げ、3つの段階に分けて説明していきます。

  1. 看護配置数を計算するときの注意点
  2. 注意点を踏まえた看護配置数
  3. 実際の看護配置数はこのようになる

療養病棟入院基本料の必要看護配置数は「20:1」と「25:1」がありますが、ここでは療養病棟入院基本料1と療養病棟入院基本料2の必要看護配置数である「20:1」を使用して計算を行っていきます。

「20:1」の看護配置数では、患者様20人に対し看護職員を1人以上配置する必要があります。

①看護配置数を計算するときの注意点

看護配置数の計算では”患者様と看護職員の病院での滞在時間が異なる”ことを考慮する必要があります。

仮に、60床の医療療養病床が満床であったときの必要看護配置数がどうなるかを考えてみます。

20:1なので、60床÷20=3人???

上記の計算は大間違いです。

患者様は病院に入院している状態なので、朝・昼・夜、つまり一日中ずっと病院にいることになります。

それに比べて、看護職員は出勤して仕事が終われば帰ってしまいます。

そのため、「60床÷20=3人」の計算が正しいということになると、看護職員が24時間住み込みで働き続けなければならないことになってしまいます。

上記のことを踏まえて、看護配置数の計算では”看護職員が1日に何人必要なのか”ということも考えなければいけないことになります。

1日(24時間)に必要な看護職員の数は?

入院患者様は朝・昼・夜の一日中病院にいるので、すべての時間に患者様の医療を行えるように必要な看護職員数を考えなければいけません。

ここで考えないといけないことは看護職員が1日の間に何人必要になるかということです。

看護職員の勤務時間は最大で1日8時間勤務、1日は24時間なので以下の計算式が成り立ちます。

24時間 ÷ 8時間(看護職員の1日の勤務時間) = 3人

この計算式から、1日24時間、常に病棟に看護職員が滞在している状態をつくるには少なくとも3人の看護職員が必要になるということが分かります。

②注意点を踏まえた看護配置数

「①看護配置数を計算するときの注意点」を考慮して必要看護配置数の計算式をつくると以下のような計算式になります。

( 入院患者数 ÷ 看護基準 ) × 3 = 必要看護配置数

入院患者様に対して○○人の看護配置(看護基準)を行い、それを24時間体制(1日に3人必要)で行うということです。

「患者数60・看護基準20:1」のときの必要看護配置数

ここで、再度、60床の医療療養病床が満床であったときの必要看護配置数を計算してみます。

( 60 ÷ 20 ) × 3 = 9人

患者数60人で看護基準が20:1の場合には最低9人の看護職員が必要ということが分かります。

同じように病床数が異なる場合の必要看護配置数を計算すると以下の表のようになります。

病床数(20:1)必要看護配置数
20床3人
30床5人(≒4.5人)
40床6人
50床8人(≒7.5人)
60床9人

※端数があるときには切り上げます。

③実際の看護配置数はこのようになる

実際の看護配置数の計算は、先ほどのような単純な計算ではなくもう少し複雑になります。

先ほどの計算では、すべての看護師が1日8時間必ず勤務することになっています。

1日8時間勤務なので「8時間×5日/週=40時間」となり、1週間に40時間勤務することになります。

この40時間から1日平均の勤務時間数「40時間÷7日(1週間の日数)」を求めると、1ヵ月(30日間)の勤務時間数「40時間÷7日(1週間の日数)×30日≒171時間/月」を求めることができます。

ただ、有休を取得して長期休暇を取っていたり、病欠で傷病休暇を取っていたりすることもあり、必ずしも171時間/月という勤務時間にはならないこともあります。

また、非常勤の看護職員も混在しているため、実際にその病棟に所属する看護職員の人数だけでみれば、看護配置数の計算で求めた人数よりも多くなるのが当たり前です。

そのため、その病棟に必要な看護職員の勤務時間数を計算し、その時間を病棟に勤務する看護職員の勤務時間数の合計時間が満たしているかを確認する必要があるということになります。

看護配置数の計算(「○○:1」の考え方について)|まとめ

看護配置数の計算をして出た結果は、あくまでも人員基準を満たすことのできる最低人数であることを忘れてはいけません。

また、施設基準を満たすためにはさらに月延べ勤務時間数や1日平均入院患者数を加味した計算を行う必要があります。

その計算については別の記事でまとめます。

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