平成28年度

「医療区分」変更点(H28改定)

クワホピ

医療療養病床で使用される「医療区分・ADL区分に係る評価票」。

その中の「平成28年度診療報酬改定においての「医療区分項目の変更点」」について説明します。

医療区分3 酸素療法を実施している状態

現行

青文字部分が改定部分

算定期間が決められていない区分 区分3

酸素療法を実施している状態

《項目の定義》

酸素療法を実施している状態

《評価の単位》

1日ごと

《留意点》

酸素非投与下において、安静時、睡眠時、運動負荷いずれかで動脈血酸素飽和度が90%以下となる状態であって、酸素療法下では動脈血酸素飽和度に応じて酸素投与量を適切に調整している状態。

なお、毎月末において当該酸素療法を必要とする状態に該当しているか確認を行い、その結果を診療録等に記載すること。

改定

《項目の定義》

常時流量3L/分以上を必要とする状態。又は、常時流量3L/分未満を必要とする状態であってNYHA重症度分類のⅢ度、若しくはⅣ度の心不全の状態、又は肺炎等急性増悪により点滴治療を実施した場合。ただし、肺炎等急性増悪により点滴治療を実施した場合については、30日間は本項目に該当する。

【要約】

酸素療法をしていて以下のどれかの状態にある患者。

  1. 常時流量3L/分以上
  2. NYHA重症度分類Ⅲ度、Ⅳ度の心不全の状態
  3. 肺炎等急性増悪により点滴治療を実施している。(30日間のみ該当)

【NYHA重症度分類:心不全の重症度分類】

Ⅰ度:心疾患はあるが身体活動に制限はない。

  • 日常的な身体活動では著しい疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じない。

Ⅱ度:軽度の身体活動の制限がある。安静時には無症状。

  • 日常的な身体活動で疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じる。

Ⅲ度:高度な身体活動の制限がある。安静時には無症状。

  • 日常的な身体活動以下の労作で疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じる。

Ⅳ度:心疾患のため、いかなる身体活動も制限される。

  • 心不全症状や狭心痛が安静時にも存在する。わずかな労作でこれらの症状は増悪する。

(付)

Ⅱs:身体活動に軽度制限のある場合

Ⅱm:身体活動に中等度制限のある場合

医療区分2 酸素療法を実施している状態

新設

青文字部分が改定部分

算定期間が決められていない区分 区分2

酸素療法を実施している状態

《項目の定義》

酸素療法を実施している状態(医療区分3に該当する状態を除く)

【要約】

[医療区分3 酸素療法を実施している状態]にあてはまらないものは、医療区分2になる。

医療区分2 頻回の血糖検査を実施している状態

現行

青文字部分が改定部分

算定期間が決められている区分 区分2

頻回の血糖検査を実施している状態

《項目の定義》

頻回の血糖検査を実施している状態(1日3回以上の血糖検査が必要な場合に限る。)

《評価の単位》

1日ごと

《留意点》

糖尿病に対するインスリン治療を行っているなどの、1日3回以上の頻回の血糖検査が必要な状態に限る。なお、検査日から3日間まで、本項目に該当するものとする。

改定

《留意点》

糖尿病に対するインスリン製剤、又はソマトメジンC製剤の注射を1日1回以上行い、1日3回以上の頻回な血糖検査を実施している状態に限る。なお、検査日から3日間まで、本項目に該当する者とする。

【要約】

①、②のどちらも実施している状態にある患者。

  1. 糖尿病に対するインスリン製剤、ソマトメジンC製剤の注射を1日1回以上実施している。
  2. 1日3回以上の頻回の血糖検査を実施している。

医療区分2 うつ症状に対する治療を実施している状態

現行

青文字部分が改定部分

算定期間が決められていない区分 区分2

うつ症状に対する治療を実施している状態

《項目の定義》

うつ症状に対する治療を実施している状態(うつ症状に対する薬を投与している場合、入院精神療法、精神科作業療法及び心身医学療法など、「診療報酬の算定方法」別表第一第2章第8部の精神科専門療法のいずれかを算定している場合に限る。)

《評価の単位》

1日ごと

《留意点》

「うつ症状」は、以下の7項目のそれぞれについて、うつ症状が初めてみられた日以降において、3日間のうち毎日観察された場合を2点、1日又は2日観察された場合を1点として評価を行う。

  • a. 否定的な言葉を言った
  • b. 自分や他者に対する継続した怒り
  • c. 現実には起こりそうもないことに対する恐れを表現した
  • d. 健康上の不満を繰返した
  • e. たびたび不安、心配事を訴えた
  • f. 悲しみ、苦悩、心配した表情
  • g. 何回も泣いたり涙もろい

本評価によって、3日間における7項目の合計が4点以上であり、かつ、うつ症状に対する治療が行われている場合に限る。

なお、医師を含めた当該病棟(床)の医療従事者により、原因や治療方針等について検討を行い、治療方針に基づき実施したケアの内容について診療録等に記載すること。

改定

《項目の定義》

うつ症状に対する治療を実施している状態(精神保健指定医がうつ症状に対する薬を投与している場合、うつ症状に対する入院精神療法、精神科作業療法、及び心身医学療法など、「診療報酬の算定方法」別表第1第2章第8部の精神科専門療法のいずれかを算定している場合に限る。)

【要約】

現行の「うつ症状に対する薬の投与」が、精神保健指定医の処方が必要になった。

精神保健指定医の勤務していない療養病棟での患者の薬の投与には、一定期間ごとの他科受診が必要になる。

厚生労働省 疑義解釈(Q&A) 

(問)「33.うつ症状に対する治療を実施している状態」の項目の定義について

別紙8「医療区分・ADL区分に係る評価票評価の手引き」「33.うつ症状に対する治療を実施している状態」の項目の定義について、以下の場合は該当するか?

  1. 別の保険医療機関の精神保健指定が当該患者を対診し、当該精神保健指定医の指示により、当該保健医療機関の精神保健指定医ではない医師が処方する場合
  2. 当該患者が別の保険医療機関を受診し、当該別の保険医療機関の精神保健指定医が処方する場合

(答)

  1. 当該保健医療機関において、別の保険医療機関の精神保健指定医が当該患者を対診し、当該精神保健指定医の具体的な指示に基づき、当該保健医療機関の医師がうつ症状に対する薬の処方を行う場合は、1回の処方に限り本項目に該当する。
  2. 別の保険医療機関において、精神保健指定医の診察を受け、当該精神保健指定医によってうつ症状に対する薬を処方される場合も本項目に該当する。

(答え要約)

「精神保健指定医」がいない病院の対応

  1. 精神保健指定医の往診により具体的な指示をもらい、病院の医師がうつ症状に対する薬を処方した場合は、1回の処方に限り該当する。
  2. 他科受診により、精神保健指定医の診察を受け、うつ症状に対する薬を処方される場合は、1回の処方に限り該当する。

(問)「17.酸素療法を実施している状態」の項目の定義について

別紙8「医療区分・ADL区分に係る評価票評価の手引き」「17.酸素療法を実施している状態(密度の高い治療を要する状態に限る。)」について、「なお、肺炎等急性増悪により点滴治療を実施した場合については、点滴を実施した日から、30日間まで本項目に該当する。」とあるが、点滴の実施期間が30日未満であった場合にも点滴開始後30日間は該当するのか。

(答)

肺炎等急性増悪により点滴治療が30日未満で終了した場合にも、開始から30日間は本項目に該当する。肺炎等急性増悪により点滴治療を30日を超えて実施した場合には、実施した日に限り、本項目に該当する。

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