感染症通信

【新型コロナウイルス感染症通信[Vol.7]】新型コロナウイルスのワクチン

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 微生物学分野 教授 西順一郎先生がされている「新型コロナウイルス感染症通信」が、とても参考になったので引用し記載させて頂きました。

≪SARS-CoV-2ワクチン≫

COVID-19の制御にワクチン開発が期待されています。政府は「来年前半までに全国民にワクチンを提供する」ことを目指し、海外2社とワクチン供給について合意しています。

アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンは、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質(SP)のRNAを、複製できないアデノウイルスに入れて接種します。アデノウイルスが感染したヒトの細胞は、RNAをもとにSPを発現し免疫応答が起こります。

ファイザー社のmRNAワクチンは、SPのmRNAを脂質ナノ粒子で包んだものです。脂質ナノ粒子はヒトの細胞膜を通過し、細胞内に入ったmRNA から SP が作られ免疫が誘導されます。

いずれもT細胞を含んだ免疫応答がみられ、第Ⅱ/Ⅲ相の臨床試験が進んでいますが、核酸ワクチンの実用化はわが国では初めての経験であり、ワクチンで感染が悪化する「抗体依存性感染増強(ADE)」の検証を含めた安全性の確認が重要です。

鹿県医FAXニュース(2020.9.25)

要約&不明語句

アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチン

アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンは、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質(SP)のRNAを、複製できないアデノウイルスに入れて摂取します。

アデノウイルスが感染したヒトの細胞は、RNAをもとにSPを発現し免疫応答が起こります。

アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチン

新型コロナウイルスのスパイクタンパク質(SP)のRNAを、複製できないアデノウイルスに入れて摂取。

感染したヒトの細胞は、RNAをもとにSPを発現し免疫応答が起こる。

ファイザー社のmRNAワクチン

ファイザー社のmRNAワクチンは、SPのmRNAを脂質ナノ粒子で包んだものです。

脂質ナノ粒子はヒトの細胞膜を通過し、細胞内に入ったmRNAからSPが作られ免疫が誘導されます。

ファイザー社のmRNAワクチン

SPのmRNAを脂質ナノ粒子で包んだもの。

脂質ナノ粒子はヒトの細胞膜を通過し、細胞内に入ったmRNAからSPが作られ免疫が誘導される。

ワクチン製造の進捗

いずれも、T細胞を含んだ免疫応答がみられ、第Ⅱ/Ⅲ相の臨床試験が進んでいますが、核酸ワクチンの実用化はわが国では初めての経験であり、ワクチンで感染が悪化する「抗体依存性感染増強(ADE)」の検証を含めた安全性の確認が重要です。

臨床試験
  1. 第Ⅰ相試験
    • 少人数の健康成人においてチェック
    • 薬の血中濃度・吸収・排泄の確認
  2. 第Ⅱ相試験
    • 少人数の患者においてのチェック
    • 薬の有効性・安全性、投与量・間隔・期間など
    • プラセボとの比較
  3. 第Ⅲ相試験
    • 多数の患者においてのチェック
    • 薬の有効性・安全性、投与量・間隔・期間など
    • プラセボとの比較
核酸ワクチン

病原体を構成する成分の設計図であるmRNAやDNAをワクチンにしたもので、投与するとmRNAやDNAの指示に従って病原体の一部であるタンパク質を合成し、免疫が誘導されます。

抗体依存性感染増強(ADE)

ワクチンや過去の感染によって獲得した抗体が、ワクチンの対象となったウイルスに感染したとき、もしくは過去のウイルスに似たようなウイルスに感染したときに、生体にとって悪い作用を及ぼし、感染・炎症が重篤化してしまい、重症化をひきおこす現象のことです。