【新型コロナウイルス感染症通信[Vol.26]】新型コロナウイルスワクチンの筋肉内注射について①
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 微生物学分野 教授 西順一郎先生がされている「新型コロナウイルス感染症通信」が、とても参考になったので引用し記載させて頂きました。
≪COVID-19ワクチンの筋肉内注射≫
COVID-19ワクチンの医療従事者への接種が始まりますが、このワクチンは筋肉内に接種します。世界ではアジュバント入りの不活化ワクチンはすべて筋肉内注射ですが、1970年代の大腿四頭筋拘縮症の影響もあり、日本では皮下注射が主流でした。筋肉内注射の方が免疫誘導力は高く、局所反応も少ないため、今後日本でも筋肉内注射のワクチンが増える傾向にあります。
成人では、肩峰から約5cm(3横指)下の上腕三角筋中央部に、標準的には22~25G、長さ25mmの注射針で、皮膚面に90℃の角度で注射します。針の長さはやせた人では16mm、体重70kg以上では32~38mmのものも使用できます。
手袋は血液曝露の可能性が低いため使用しないでかまいませんが、着用する場合は被接種者ごとに交換します。接種前後の手指消毒は必須です。接種後は、アナフィラキシーはもちろんですが、迷走神経反射による失神にも注意が必要です。
鹿県医FAXニュース(2021.2.12)
要約&不明語句
新型コロナウイルスの筋肉内注射について
アジュバントとは、薬物による効果を高めたり補助したりする目的で併用される物質・成分の総称です。
ラテン語の「adjuvare(助ける)」に由来する語句です。
大腿四頭筋拘縮症は、医薬品の副作用ではなく注射剤の使い方、注射部位等が適切でなかったために、注射剤の成分が周囲に筋組織に対して、物理的・化学的な刺激を与えて障害につながったものです。
注射の際の物理的刺激と注射剤による筋肉組織の破壊によって、外形の変化や運動機能障害がもたらされるものです。
血管迷走神経反射は、自律神経系の突然の失調のために、血圧や心拍数が下がり、脳に行く血液循環量を確保できないために、失神や目まいなどの症状が起こる病気で、長時間の立位、温暖下での激しい運動、恐怖感や情緒的不安定、激しい痛みなどによって誘発されます。