【新型コロナウイルス感染症通信[Vol.21]】新型コロナウイルスワクチンの有効性と安全性について
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 微生物学分野 教授 西順一郎先生がされている「新型コロナウイルス感染症通信」が、とても参考になったので引用し記載させて頂きました。
≪COVID-19ワクチンの有効性と安全性≫
海外でファイザー社とモデルナ社の mRNAワクチンの接種が進んでいます。それぞれ21日と28日の間隔で2回筋肉内に接種します。臨床試験での発症を指標とした有効率はいずれも95%ときわめて高い効果です。
一方で、臨床試験における有害事象の頻度は他のワクチンより高く、一過性の疼痛が78~90%、2回接種後の38℃以上の発熱が16~17%、倦怠感が59~68%にみられています。臨床試験での重篤な健康被害の頻度は対照群と差はありませんでしたが、米国での12月の調査ではアナフィラキシーの頻度が100万接種あたり11.1と、インフルエンザワクチンの1.35に比べ高くなっています。
今後接種が進むと、これまで顕在化しなかった副反応がみられる可能性もあるため、安全性の評価は慎重に行う必要があります。日本感染症学会では、「COVID-19 ワクチンに関する提言」を昨年末にまとめましたので参考にしていただければ幸いです。
鹿県医FAXニュース(2021.1.8)
要約&不明語句
mRNAワクチンの作用機序
![【新型コロナウイルス感染症通信[Vol.21]】新型コロナウイルスワクチンの有効性と安全性について](https://hospital.kuwashira.com/wp-content/uploads/2021/01/mRNA機序.png)
アナフィラキシー
原因物質(抗原)により感作される準備期間の後、その原因物質が再び生体に接触することで引き起こされる免疫学的機序による全身的なアレルギー反応。
新型コロナウイルスワクチンに関する提言(第1版)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が進む中、COVID-19ワクチンの接種開始がわが国でも強く期待されています。COVID-19の感染拡大防止に、ワクチンの普及が欠かせないことは言うまでもありません。しかしながら、ワクチンも他の薬剤と同様にゼロリスクはあり得ません。私たち一人一人がその利益とリスクを正しく評価し、接種するかどうかを自分で判断することが重要です。本提言は、海外で接種が開始されたCOVID-19ワクチンついて、その有効性と安全性に関する科学的な情報を解説し、接種を判断する際の参考にしていただくために作成いたしました。COVID-19の終息に向かって、有効で安全なワクチンが開発され、正しく理解され広く普及してゆくことを願っております。
一般社団法人日本感染症学会