感染症通信

【新型コロナウイルス感染症通信[Vol.31]】COVID-19患者からの伝播リスク

クワホピ

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 微生物学分野 教授 西順一郎先生がされている「新型コロナウイルス感染症通信」が、とても参考になったので引用し記載させて頂きました。

≪COVID-19患者からの伝播リスク≫

COVID-19患者の鼻咽腔ウイルス量と2次感染率を調べたコホート研究がスペインから報告されています(Marks M, Lancet Infect Dis2021)。1人以上の接触者がいる282人の外来COVID-19患者の接触者を観察しています。医療機関、介護施設、家庭などにおいて、2m以内で15分以上の接触があった成人753人中125人(17%)に2次感染がみられました。

2次感染率は、発端者の症状や接触者のマスク着用とは関連がなく、発端者のウイルス量と有意に関連しており、107/mL未満は12%でしたが、1010/mL以上では24%に倍増しました。また、2次感染は医療機関と比べて介護施設で1.75 倍、家庭で3.07倍多くみられました。

なおこの研究では、282事例中192事例(68%)で2次感染は起きておらず、COVID-19は通常の接触では案外広がらない感染症でもあることがわかります。

鹿県医FAXニュース(2021.3.19)

要約&不明語句

COVID-19患者の鼻咽腔ウイルス量と2次感染率を調べたコホート研究

コホート研究:ある特定の疾患の起こる可能性がある要因・特性を考え、対象集団(コホート)を決め、その要因・特性を持った群(曝露群)と持たない群(非曝露群)に分け、疾患の罹患や改善・悪化の有無などを一定期間観察し、その要因・特性と疾患との関連性を明らかにする研究方法。

1人以上の接触者がいる282人の外来COVID-19患者の接触者を観察すると、2m以内で15分以上の接触があった成人753人中125人(17%)に2次感染があった。

2次感染率は、

  • 発端者の症状や接触者のマスク着用とは関連なし
  • 発端者のウイルス量と有意に関連(107/mL未満:12%、1010/mL以上:24%)
  • 医療機関と比べて介護施設で1.75 倍、家庭で3.07倍多くみられた

282事例中192事例(68%)で2次感染は起きておらず、COVID-19は通常の接触では案外広がらない感染症といえる。

記事URLをコピーしました