【新型コロナウイルス感染症通信[Vol.19]】新型コロナウイルスのゲノム分子疫学調査について
クワホピ
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 微生物学分野 教授 西順一郎先生がされている「新型コロナウイルス感染症通信」が、とても参考になったので引用し記載させて頂きました。
≪SARSCoV-2のゲノム分子疫学調査≫
国立感染研から、10月26日時点のSARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査結果が報告されました。それによると、7月以降のわが国のすべてのウイルス株は、3月中旬から国内に流入して全国に広がった欧州系統に起源する2つのゲノム・クラスター群に集約されます。
その2群において、欧州系統との明確なリンクのあるウイルス株は発見されておらず、特定の陽性者として顕在化しない軽症者もしくは無症状陽性者が感染リンクをつないでいた可能性が残るとされています。なお、海外からの新たな流入株はみられていません。また、国内の地域ごとの2群の分布については言及されていません。
現在の国内流行株には、欧州系統に特徴的なスパイクタンパク質のD614G変異が、そのまま継承されており、抗体の中和活性を落とす新たな変異はみられていません。D614G変異は高い伝播性と関連していますが、ワクチンの有効性には問題はなさそうです。
鹿県医FAXニュース(2020.12.18)
要約&不明語句
日本の新型コロナウイルスのゲノム情報の塩基変異を用いたハプロタイプ・ネットワークについて
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国内で検出される新型コロナウイルスは、元をたどれば中国由来のものと欧州由来のものと推定されていて、1・2月のクラスターは中国由来のもので、3月中旬以降のものは欧州由来のものとされています。