感染症通信

【新型コロナウイルス感染症通信[Vol.18]】スパイクタンパク質の開裂について

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 微生物学分野 教授 西順一郎先生がされている「新型コロナウイルス感染症通信」が、とても参考になったので引用し記載させて頂きました。

≪スパイクタンパク質の開裂≫

SARS-CoV-2の表面にあるスパイクタンパク質(SP)には、S1とS2の2つのドメインがあります。S1が宿主細胞上のACE2と結合したあと、S1とS2の開裂が起こり、S2の構造変化に伴って膜融合が生じ、ウイルスが宿主細胞に侵入します。

SARS-CoV-2のS1とS2の開裂には、FurinとTMPRSS2(Transmembrane protease, serine 2)の2つのタンパク質分解酵素が関与しています。Furinは多くの組織に普遍的に存在し、唾液腺にも発現しているため口腔内へのウイルス排出を促進します。一方、MPRSS2 はⅡ型肺胞上皮細胞に発現して肺でのウイルスの増殖に関与しています。

膵炎の治療に用いられるナファモスタット(フサン®)やカモスタット(フォイパン®)は、TMPRSS2活性を阻害しSARS-CoV-2の侵入を防ぐことが報告されており、すでに臨床で使用されていますが、中等症患者への治験も進行中です。

鹿県医FAXニュース(2020.12.11)

要約&不明語句

スパイクタンパク質の開裂について

スパイクタンパク質

スパイクタンパク質は、ウイルス粒子表面から20~40個突き出しています。多数のスパイクタンパク質が協働して、ウイルス粒子からは平面に見えるヒト細胞表面を走査します。そして、受容体のACE2と結合していくと考えられています。

ACE2

ACE2(アンジオテンシン変換酵素2)は、人間細胞の細胞膜に存在する酵素領域を持つ膜タンパク質で人間細胞のウイルス受容体になります。