感染症通信

【新型コロナウイルス感染症通信[Vol.16]】風邪のコロナウイルスとの交差免疫について

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 微生物学分野 教授 西順一郎先生がされている「新型コロナウイルス感染症通信」が、とても参考になったので引用し記載させて頂きました。

≪かぜのコロナウイルスとの交差免疫≫

SARS-CoV-2に感染しても、軽症の人もいれば重症化する人もいます。その背景に、かぜのコロナウイルス(endemic CoV)との交差免疫が関与していることを示唆する研究が発表されています(Sagar M. J Clin Invest 2020)。

過去5年以内に呼吸器感染症で入院した成人患者で、気道からeCoV(HCoV-OC43, -HKU1,-NL63, -229E)が検出されたeCov+群875人と検出されなかった eCoV-群15,053人を比較しています。両群ともSARS-CoV-2感染率はほぼ同じですが、COVID-19入院患者におけるICU治療と人工呼吸管理の割合はeCov+群が有意に低くなっています(ICU, 4.8% vs 28.1%; 人工呼吸管理, 0% vs 16.4%)。

eCoVはわが国でも毎年乳幼児から分離されていますが、小児に重症者が少ない理由のひとつにこの交差免疫が関与しているのかもしれません。成人もeCoVには感染しますが、たまにかぜをひくのも悪いことだけではなさそうです。

鹿県医FAXニュース(2020.11.27)

要約&不明語句

風邪のコロナウイルスとの交差免疫について

新型コロナウイルスに感染しても、軽症の人もいれば重症化する人もいます。

その背景に、風邪のコロナウイルス(endemic coV)との交差免疫が関与していることを示唆する研究が発表されています。

過去5年以内に呼吸器感染症で入院した成人患者で、気道から風邪のコロナウイルスが検出された群(875人)と、検出されなかった群(15,053人)を比較しています。

両群とも新型コロナウイルス感染率はほぼ同じですが、新型コロナウイルス感染症入院患者におけるICU治療と人工呼吸管理の割合は、風邪のコロナウイルスが検出された群が有意に低くなっています。

風邪のコロナウイルスは、わが国でも毎年乳幼児から分離されていますが、小児に重症者が少ない理由のひとつにこの交差免疫が関与しているかもしれません。

成人も風邪のコロナウイルスには感染しますが、たまに風邪をひくのも悪いことでだけではなさそうです。

コロナウイルスとの交差免疫について

人は一生の間に何度も繰り返し風邪をひきます。

風邪の原因ウイルスとしては、4種の(季節性)コロナウイルスがあることが分かっていますが、これらのコロナウイルスに繰り返し感染することによって、ほとんどの人がコロナウイルス属に対する免疫を獲得している可能性があります。