【新型コロナウイルス感染症通信[Vol.11]】外来での新型コロナウイルスの検査
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 微生物学分野 教授 西順一郎先生がされている「新型コロナウイルス感染症通信」が、とても参考になったので引用し記載させて頂きました。
≪外来でのSARS-CoV-2検査≫
この冬は、かかりつけ医等の最寄りの診療所で発熱者等の相談・外来診療・検査を実施するよう国から求められていますが、「SARS-CoV-2 の検査はどのような患者に行えばよいか」というご質問をいただきました。
臨床検査は、その結果が患者の利益になる場合にのみ行うべきものです。外来での抗ウイルス薬はありませんので、早期に診断しても治療上の利益はありません。COVID-19の流行状況にもよりますが、検査前確率の低い患者が陽性でも、偽陽性の可能性のほうが高くなるため、社会的影響を考えると利益どころか大きな不利益をもたらすこともあります。
軽症であれば、同居者にうつさないよう配慮してもらい、自宅で安静にしてもらえば、無理をしてSARS-CoV-2の検査をする必要はないように思います。ただし、高齢者施設の入所者など、COVID-19であればクラスター発生につながる方については、早期の検査が望まれます。
鹿県医FAXニュース(2020.10.23)
要約&不明語句
外来での新型コロナウイルスの検査
この冬は、かかりつけ医等の最寄りの診療所で発熱者等の相談・外来診療・検査を実施するよう国から求められていますが、「新型コロナウイルスの検査はどのような患者に行えばよいか」という質問を受けることがあります。
臨床検査は、その結果が患者の利益になる場合のみ行うべきものです。
外来での抗ウイルス薬はありませんので、早期に診断しても治療上の利益はありません。
新型コロナウイルスの流行状況にもよりますが、検査前確率の低い患者が陽性でも、偽陽性の可能性のほうが高くなるため、社会的影響を考えると利益どころか大きな不利益をもたらすこともあります。
軽症であれば、同居者にうつさないよう配慮してもらい、自宅で安静にしてもらえば、無理をして新型コロナウイルスの検査をする必要はないように思います。
ただし、高齢者施設の入所者など、新型コロナウイルスであればクラスター発生につながる方については、早期の検査が望まれます。
新型コロナウイルス感染症に関しては、秋冬に季節性インフルエンザと並走することが予想されています。
そうした中で「感染拡大防止策の徹底」や「医療提供体制の確保」などが依然として重要な課題となっています。
そのため、より迅速に相談・検査・治療が受けられるよう、各地域で以下のような体制を構築することが求められています。
- 発熱等患者へは「身近なかかりつけ医療機関」が1次対応(電話相談など)を行い、当該医療機関が「診療・検査医療機関(仮称)」である場合には、検査・診療等を行う。
- かかりつけ医療機関で検査・診療を実施できない場合には、地域の「診療・検査医療機関(仮称)」を案内する
厚労省HP:「令和2年度インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業」について
この事業は、発熱患者等専用の診察室(時間的・空間的分離を行い、プレハブ・簡易テント、駐車場などで診療する場合を含む)を設けて、発熱患者等を受入れる体制をとった場合に、その体制確保に要する経費について支援することにより、インフルエンザ流行期においても十分に発熱患者等に対応できる体制を各地域において確保いただくためのものです。
この事業により、都道府県から「診療・検査医療機関(仮称)」の指定を受けて発熱患者等専用の診察室を設けたにもかかわらず、実際の受診者数が少なかった場合に所定のルールにより支援を受けることができます。