新型コロナウイルス感染症の臨床像について(※新型コロナウイルス感染症COVID-19 診療の手引き 一部抜粋)

クワホピ

臨床像

多くの症例で発熱、呼吸器症状(咳嗽、咽頭痛、鼻汁、鼻閉など)、頭痛、倦怠感などがみられています。

下痢や嘔吐などの消化器症状の頻度は、多くの報告で10%未満であり、SARSやMERSよりも少ないと考えられます。

初期症状は、インフルエンザや感冒に似ていて、今の時期にこれらの病気とCOVID-19を区別することは困難です。

中国では、発症から病院受診までの期間は約5日、入院までの期間は約7日と報告されていて、症例によっては発症から1週間程度で重症化してくるものと考えられています。

さらに重症化する事例では、10日目以降に集中治療室に入室という経過をたどるようです。

  • 重症化のリスク因子として、高齢者、基礎疾患(心血管疾患、糖尿病、悪性腫瘍、慢性呼吸器疾患など)が知られています。
  • 40歳代までは重症化は少なく、50歳代から年齢が高くなるに従って致死率も高くなります。
  • 中国での患者44,672人のデータからは80歳代の致死率は14.8%にも上ります。
  • 基礎疾患のある患者では、基礎疾患のない患者と比べて明らかに致死率が高いです。

感染経路・潜伏期・感染可能期間・季節性

  • 飛沫感染が主体と考えられ、接触感染や換気の悪い環境では、咳やくしゃみなどがなくても感染することがあり得ると考えられます。
  • 有症者が感染伝播の主体であり、無症状病原体保有者からの感染については、現時点において確定的なことはわかっていません。
  • 潜伏期は1~14日間であり、曝露から5日程度で発症することが多いとされています(WHO)。
  • 発症時から感染性が高いことは市中感染の原因となっており、SARSと大きく異なる特徴です。
  • 中国広東省におけるPCR検査を用いた検討(14例)では、咽頭より鼻腔のウイルス量が多く、発症日から5日程度持続します。発症から10日前後で検出限界以下となりました。
  • コロナウイルス感染症は、一般に温帯では冬季に流行しますが、COVID-19にも当てはまるかは不明です。

院内感染防止

中国及び日本においても、COVID-19の院内感染が疑われる事例が報告されています。

患者だけでなく医療従事者においても、感染者が発生しており、患者から医療従事者への感染のみならず、医療従事者から患者に感染したと、考えられる事例も起きています。

それらの事例における感染経路は調査中であり、明らかになっていません。

COVID-19におけるウイルスの伝播経路は、主に唾液や鼻水などの体液、及びそれらで汚染された環境への接触や、くしゃみや喀痰など呼吸器飛沫が、結膜や呼吸器粘膜に入ることにより感染すると考えられています。

従って、患者の診療ケアにおいては、標準予防策に加えて、接触予防策と飛沫予防策が必要です。

なお、コロナウイルスはエンベロープをもつRNAウイルスであり、熱・乾燥・エタノール・次亜塩素酸ナトリウムに消毒効果が期待できます。

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